結納の際に贈る結納金は、結婚準備資金として、相手側の「家」に贈ることが由来です。
一方、結婚後の「生活費」として、親から子に渡されるケースがあります。
このような場合、贈与税や相続の対象となることがあるのか、相談が寄せられています。
1.結納金に税金は発生する?
一連の結婚資金としての「結納金」は、本来、結婚準備のために 「(嫁を)もらう側」の「家」から、「嫁ぐための資金」として贈られるものが由来とされています。
したがって、その結納金をもとに、結納金を受け取った側(花嫁側)の実家は嫁ぐための「花嫁道具」や「結婚衣装」の準備をするものでした。
一方、最近では、名目は「結納金」ながら、実質は 「親」から「子(ふたり)」に「生活費」として渡されるものである場合が増えているようです。
かつて結婚は「家」と「家」同士の結びつきの色合いが濃くありましたが、最近の結婚は当人同士のものという考えが主流です。
したがって、生活資金に役立てたほうが、無駄なく活用できてよいという発想は自然なことといえるでしょう。
ところで、結納金の相場は、縁起がよく、キリもよいため「100万円」ともいわれています。
一般的に高額のお金が行き来する場合は、「税金」がかかるものです。
では「結納金」には、税金がかかるものなのでしょうか?
結納金は税金の対象!?
さて、国税庁のホームページによると、 「贈与税は、原則として贈与を受けたすべての財産に対してかかる」とされています。
基本的には、他人から他人へはもちろん、親から子へ渡された財産でも税金の対象となる、ということです。
しかしながら、
「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」 には、税金はかかりません。
また、「お祝い金」など「社会通念上認められるもの」にも、税金がかかりません。
つまり、必要とされるものに対して、親の義務として子に援助した場合には、税金の対象にはならないのです。
「結納金」も結婚準備資金として贈られ、受け取り、結婚準備一連に活用する限り、税金はかかりません。
一方、あきらかに親から子への贈与であっても、年間110万円までは、相続税の基礎控除額となり、税金はかかりません。
税金の決まりを心得ておくことが大切ですね。
2.結納金の使い道
税金がかかるケース
一般的には「結納金」に税金はかからないのですが、気をつけなければならないことがあります。
同じく、国税庁のホームページによると、
「生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかる」とあります。
つまり、一般的に、「結納金」は「常識範囲内」では税金は発生しないものの、結婚準備で消費されることを前提とされており、結婚後の生活の「ゆとり」を生むための資産とみなされると、税金の対象となる可能性がでてくるのです。
たとえば、新居購入資金に、親から贈られた「結納金」を充てようとするならば、取得した不動産は資産となるため、「贈与資金」として申告する必要があります。
また、この場合の「贈与」とは、必ずしも「金品」に限ったものではありません。
・婚約を記念して、高価な絵画を贈られた
・婚約を記念して、代々伝わる高価な楽器が贈られた
などは、たとえ「金品」ではなくとも「財産の贈与」とみなされる可能性が高くなります。
非課税となるか課税対象となるかは、親から子への「必要な生活の援助」であるかどうかということがポイント。
「絵画」や「楽器」では実際の生活費とはみなされない、ということにあります。
なお、課税される明確な金額のラインは明らかではありません。
これは、個々の家庭環境によっては「常識範囲」が異なるため、です。
ただし、一般的に結婚式費用としてかかる金額(数百万円)の範囲であれば、「親の義務」とみなされ、課税対象にならない場合が多いようです。
また、金品以外の財産についても、個々のケースによっては、課税対象となったり非課税となったりするようです。
いろいろなケースがあり、「これ!」といった決まりがあるわけではなく、迷ってしまうこともあるでしょう。
しかし、たとえば、住宅取得に関しては、いろいろな控除があり、申告しても非課税になる場合があります。
うっかり「脱税」とならないように、疑問がある場合は必要な場所に相談し、きちんと手続きを踏むことをおすすめします。
※この講義は2014年8月時点の情報を基にして執筆したものです。
※ 2016年8月 時点の情報を元に構成しています
「結納」 の スペシャル に含まれています