結婚を機に新居に引っ越しする場合の手続きはどのようにすればよいのでしょうか。
婚姻届の提出には戸籍謄本のほか、新住所に変更するためには旧住所での転出届が必要書類です。
休日に提出した場合の手続きや、ふたりの本籍はどうなるか、知りたいですよね。
1.手続きの流れ
結婚を機に新居に引っ越しするカップルは多いでしょう。
結婚に伴う役所の手続きとして、婚姻届に加えて、転出・転入届の手続きをします。
自分の引っ越しで転出・転入届を提出した経験がある人でも、結婚に伴うふたりの引っ越しでは、姓名の変更はどうなるのか、世帯主をどうするかなどが関わってくるため、独身時代とは違う手続きがあることに気を付けておきましょう。
なお、婚姻届は365日24時間、提出した日が入籍日となり、休日や夜間帯に提出しても、当日にさかのぼって処理されますが、一方、住民票に関わる手続きは、たとえ休日窓口で提出できたとしても、あくまでも「預り」です。
処理は役所の平日営業時間内に限られます。
もし婚姻届と転入手続きを同日に行ないたい場合には、平日に役所に行く必要があります。
また、手続きにかかる時間は役所によっても変わるので、提出を予定している役所に事前に確認しておくことをおすすめします。
婚姻届を提出すると住民票が自動的に修正される!
さて、婚姻届が提出されることで、住民票の内容の一部が自動的に修正されます。
これは、戸籍と住民票の内容は一致するように定められており、婚姻届によって「変更が必要となる住民票の内容」が修正されるためです。
婚姻届を住所地でない市町村に提出しても、受理した役所から住所地の役所に連絡されます。
自動的に修正される住民票の内容
・住民票の「氏」→戸籍の氏に
・住民票の「本籍地」「筆頭者」→新しい本籍・筆頭者に
・世帯主との続柄→(例)同居人→妻など
ただし、自動的に修正される内容とはいえ、婚姻届の内容が新しい戸籍に反映されるまでには早くて1日、たいていは数日-数週間かかります。
したがって、その間は、新しい姓での戸籍や住民票はできていません。
会社に扶養の手続きや、免許証、銀行名義の変更などを急いで行なう必要がある場合には、正式な証明書ができるまでの“つなぎ”の役割を果たす「婚姻届受理証明書」が役に立ちます。
手続きが必要になること
上記のように、自動的に修正されること以外については、届けを提出して変更しなければなりません。
公的書類の内容を変更することを「異動」といいます。
引越しをする場合は、転出・転入の手続きをして、住民票の異動手続きをする必要があります。
転出・転入の手続きが必要な場合
住民票を異動するケース
・今までそれぞれ別の住所だったが、結婚してふたりで新住所に住むケース
・夫(妻)の住んでいる住所に、妻(夫)がいっしょに住むケース
では、住民票の異動が必要になります。
入籍と同時に住民票も異動する場合は、婚姻届と前住所からの転出届(転出証明書)が必要になるので、事前に転出の手続きをしておきましょう。
新しい住居の役所で転入届を書き、婚姻届・転出届・転入届を同時に出すと、その場で住民票を即日発行してもらえます。
なお、転入日より14日以内に手続きをしましょう。
転出・転入の手続きが必要でない場合
登録済みの役所で入籍するケース
すでに住民票が登録してある場合は、転出・転入の手続きが必要ありません。
婚姻届を提出し受理されたのち、新しい住民票を受け取ることができます。
ふたりが婚姻届提出前からすでに一緒に住んでいる、という場合など、このケースでしょう。
なお、ふたりともが「世帯主」であったり、世帯主を変更する場合は、転出・転入の手続きとは別の異動の手続きが必要です(→世帯合併届/世帯主変更届)。
なるべく新姓名で手続きを進めたい場合
公的書類は内容を変更すると、異動の履歴が残ります。
なるべく新姓名として手続きを進めたい場合はどうしたらよいでしょうか?
最終的には最新の書類ができあがるのですが、異動(修正・変更)履歴を少なくしたい場合、最も早く作成したい場合には、それぞれのケースによって、婚姻届と住民票を提出するタイミングを考える必要があります。
・婚姻届を提出する前に新住所の市区町村に転入届を提出しておいてから婚姻届を提出すると、住民票に婚姻前の氏名が取り消し線のついた状態になってしまいますが、転入届と婚姻届を同時に提出すれば、取り消し線はつきません。
・婚姻届を出す場所が転出届を出す市区町村の場合(つまり転居前の住所)、すぐに婚姻後の氏名の載った「転出証明書」が発行できます。
この「転出証明書」で手続きを進めれば、住民票は新姓名となります。
ただし、婚姻届を出す場所が転出届を出す市区町村でない場合、役所間の通知に1週間程度の時間がかかるので「転出証明書」はすぐにはもらえないので注意が必要です。
・婚姻届を出した市区町村で「婚姻届受理証明書」をとって、婚姻前の氏名の載った転出証明書と一緒に転入届を提出すると、転入と同時に新姓名での住民票となります。
市区町村によっては扱いが違うようですが、「婚姻届受理証明書」は新しい戸籍ができるまでは有効な書類なので、婚姻届提出と同時に取得するようにしておくと、いろいろな手続きがスムーズになるようです。
2.その他の例外的手続き
結婚に関する住民票の異動には、引っ越しに伴う手続きのほか、名義の変更に伴って、別途手続きが必要になる場合があります。
これは、上記1.手続きの流れ
婚姻届を提出すると住民票が自動的に修正される!
自動的に修正される住民票の内容
以外のケースです。
詳しいことについては、各市町村の役所に確認しましょう。
名義の変更が伴うケース
世帯合併
世帯合併とは、住所が同一の2つの世帯を1つの世帯に合併することです。
たとえば、
・すでに一緒に住んでいるなどで住民票は同じ住所になっているが、それぞれが世帯主になっており、世帯をひとつにするケース
が世帯合併にあたります。
入籍前ならば、「世帯主がふたり」でも問題ないのですが、婚姻届により夫婦となった段階で「世帯は1つ」とみなされるため、世帯合併の異動手続きが必要です。
世帯主変更
世帯主変更とは、その世帯の世帯主をその世帯の世帯員のだれかに変更することです。
たとえば、
・妻の住所に夫が転居して同じ住所になったことに伴い、世帯主を変更したいケース ・本籍の筆頭者が住民票の世帯主とならないケース(例:妻の姓だが、夫を世帯主としたい)
が世帯主変更にあたります。
世帯分離
世帯分離とは、1つの世帯につき、住所を変えずに2つの世帯に分けることをいいます。
たとえば、
妻が夫の両親と同居する場合、
・親夫婦と子ども夫婦の2つの夫婦で1世帯 → 妻の転入の手続きだけ
ですが、
・親夫婦と子ども夫婦を2つの世帯に分ける → 夫が両親の世帯と分け、別途世帯主となり、そこに妻が転入するという手続き
を踏む場合は、世帯分離となります。
世帯構成変更
世帯構成変更とは、同一住所の2世帯の世帯員の構成を変更する場合です。
たとえば、
・世帯構成員が「父(世帯主)・母・長女・次女」であった世帯に、「長女の婚約者」が同じ住所に別世帯の住民票があるところ、結婚(婚姻届)したことで夫婦となったケース
婚姻前:世帯1「父(世帯主)・母・長女・次女」+世帯2「長女の婚約者」
婚姻後:世帯1「父(世帯主)・母・次女」+世帯2「長女の夫+長女(妻)」
が世帯構成変更にあたります。
世帯が異動したのは、長女だけで、引越しをしたわけではなく、住所は同一、しかも変更前後で2世帯ということも変わりなく、世帯合併でも世帯分離でもありません。
したがって、このようなケースを世帯構成変更といいます。
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※ 2020年12月 時点の情報を元に構成しています
「夫婦関係」 の キホン に含まれています