「婚姻届」と「入籍届」は異なることを知っていますか?
それぞれ必要な準備と提出方法を紹介します。
「入籍」は「もともとある戸籍に入る」という意味
結婚と聞くと「入籍」という言葉をイメージする人も多いのではないでしょうか。
実際に結婚をしたカップルから、「入籍しました!」と連絡がきたりしますよね。
ですが、じつは「結婚」と「入籍」はイコールではなく異なる意味をもっています。 本来、「入籍」とは ”もともとある戸籍に入ること” を意味します。 たとえば「夫婦の間で生まれた子が戸籍に入る」「婿養子として、戸籍に入ってもらった」 というときに「入籍」という言葉を使うのが正解なのです。
「結婚」に必要なのは「婚姻届」の提出
「結婚をするなら入籍しなければならないのでは?」「結婚するのに必要なのは、婚姻届だけでいいの?」などの疑問を抱くかもしれません。
事実婚ではなく、法律上の夫婦となるには婚姻届の提出が必須となります。
婚姻届を役所に提出し、受理されたら、その日から晴れてふたりは夫婦に!
周囲からも「結婚した」と認識されます。
「婚姻届」提出にあたって準備するもの
結婚する日を決めたら、婚姻届の提出にあたって必要な書類を揃えましょう。
婚姻届を役所に提出する際には、
- 婚姻届
- 戸籍謄本
- 身分証明書
が必要となります。
婚姻届(1通)
結婚するには必ず婚姻届が必要です。
また、当然ですが婚姻届は、記入漏れや記入間違いなどがあると正しく受理されません。
「決まった日に婚姻届を提出をして、その日を結婚記念日にしたい!」とこだわりがあったのに、記入漏れや間違いがあったために正しく受理されず結婚した日がずれてしまった…なんてことにならないよう、婚姻届が正しく記入されているか確認しましょう。
記入にあたっては、ふたりそれぞれの押印(旧姓の印鑑)、証人をお願いする2名の直筆の署名、押印が必要です。
また、住所、本籍地や筆頭者を間違いなく記入する必要がありますので、本籍地・筆頭者の記載のある住民票が手元にあるとスムーズです。
戸籍謄本(ふたりそれぞれのもの)
婚姻届を提出する市町村とふたりの本籍地が異なる場合は、戸籍謄本がそれぞれ1通ずつ必要となります。戸籍謄本とは、「全部事項証明」と呼ばれていて、全員の事項を写したものです。
婚姻届を提出する役所に本籍地がある場合、戸籍謄本は不要です。
身分証明書(ふたりそれぞれのもの)
提出の際に、本人確認するための身分証明書も必要となります。
本人確認をする際の身分証明書は、運転免許証・パスポート・マイナンバーカード・住基カード などの写真入り証明書が必要となります。
婚姻届を提出の時、一方または双方が未成年の場合は、父・母の同意書・婚姻届内の婚姻に同意する署名・印鑑などが必要です。
「婚姻届」の提出方法は?
記入漏れ・記入間違いなどがないか、すべてが揃っているかを確認したら各市町村の役所に提出します。 書類に誤りなどがなければ、届けた日がふたりの結婚した日となります。
「入籍届」の提出が必要なケースとは
先に説明したように、「婚姻届」イコール「入籍」というのは正確な意味では間違いです。
しかし、結婚に際して本来の意味で「入籍」の手続きが必要なケースもあります。
それはどのような場合なのでしょうか?
子連れで再婚する場合
子どもがいて、再婚相手の戸籍に子どもを入れたいという場合には、「入籍届」の提出が必要です。 それ以外の再婚については、特別な書類を用意する必要もなく、戸籍を移さなければならないといった決まりはありません。 ただし、本籍以外の役所に書類を提出する場合は「戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)」が必要となりますので覚えておきましょう。
離婚して子どもを別の戸籍に入れる場合
離婚して、子どもを元の戸籍から別の戸籍に入れる際にも入籍届の提出が必要です。 たとえば父母のうち、離婚で母が戸籍を抜け、親権者が母親になった場合は、子どもを母の戸籍に入れるために入籍の手続きが必要となります。
授かり婚で出産後の結婚になる場合
妊娠したことをきっかけに結婚する授かり婚(できちゃった婚・おめでた婚)は、ハッピーも2倍!とはいえいつ婚姻届を出すとよいのか、結婚までのスケジュールに悩むカップルも多いのではないでしょうか。
ここでは出産後に結婚をする(婚姻届を提出する)場合の、出産前・出産後に必要な手続きについてまとめました。
出産前に胎児認知の手続きをする場合
出生前の子どもを、父親が「自分の子」であると認め、認知を届け出ることを「胎児認知」と言います。
胎児認知の届け人は「認知する父」、届出先は「認知される胎児の母親の本籍地」となります。
届出に必要な書類はこちら。
- 認知届書
- 届出人である父の印鑑
- 認知する父の戸籍謄本
- 認知される子の母の戸籍謄本(届出をする市区町村に本籍がないときに必要)
- 認知される子の母の承諾書
- 届出人の本人確認書類
出産後に父親が認知届を提出する場合
胎児認知をしておらず、生まれた子どもを父親が「自分の子」だと認めた場合は、認知を届け出る手続きをとります。
認知の届け人は「認知する父」、届出先は「父の本籍地か住所地」または「認知される子の本籍地」となります。届出に必要な書類はこちら。
- 認知届書
- 届出人である父の印鑑
- 父または認知される子の戸籍謄本(届出をする市区町村に本籍がないときに必要)
- 届出人の本人確認書類
生まれた子を夫婦の戸籍に入れる「入籍届」を出す
認知をしただけでは、父母と子どもの戸籍は別々のまま。子どもを夫婦と同じ戸籍に言えるには、「入籍届」の提出が必要になります。 認知の届け人は「入籍する子どもの法定代理人(父や母など)」、届出先は「入籍する子どもの本籍地、または届出人の住所地」となります。
入籍に必要な手続きは?
繰り返しますが、カップルが結婚するときに提出する必要があるのでは「入籍届」ではなく「婚姻届」。
「入籍届」は、先に説明したように子連れ再婚や離婚して子どもの籍を移すときなどに必要になるものです。入籍届を提出するときに必要な準備や提出方法をまとめました。
「入籍届」提出にあたって準備するもの
入籍届を提出する際に必要なものは以下になります。
- 入籍届
- 届出人の印鑑
- 戸籍謄本
- 子の氏の変更許可審判書謄本
入籍届
入籍届は各市区長村の担当窓口で受け取ることができます。
届出人の印鑑
子どもが15歳未満の場合は親権者、15歳以上の場合は本人の印鑑が必要です。スタンプ式の印ではなく朱肉を付けるタイプの印鑑を持参しましょう。
戸籍謄本
子どもを親の戸籍に入籍する場合、子どもと入籍先の親それぞれの戸籍謄本が必要になります。ただし、入籍届を提出する市区町村に本籍がある場合は、親の戸籍謄本は不要となります。
子の氏の変更許可審判書謄本
事前に家庭裁判所に「子の氏の変更許可」を申請します。申立書に子どもと父・母の戸籍謄本も一緒に提出し、裁判所に認められれば「子の氏の変更許可審判書謄本」が発行されます。家庭裁判所の許可が必要かどうかは場合によって異なるので、事前に確認をしておきましょう。
「入籍届」の提出方法は?
入籍届は「入籍する子どもの本籍地」または「届出人の住所地」にある、各市区町村へ提出します。提出時には、子どもが15歳未満の場合は親権者・15歳以上の場合は本人の印鑑が必要です。
間違えやすい結婚と入籍の正しい意味、「婚姻届」と「入籍届」の違いと手続きに必要な書類などについてご紹介しました。
「結婚する」といってもさまざまなケースがあるため、自分たちに必要なものが「婚姻届」なのか「入籍届」なのかを理解したうえで、手続きを進めてくださいね。
※ 2021年4月 時点の情報を元に構成しています
「入籍・婚姻届」 の キホン に含まれています