結納のような伝統的な儀式には、いろいろなマナーがあって難しい、という声が多く聞かれます。
まず、両家の席順はどうしたらよいのか気になります。結納だけでなく、両家の挨拶や顔合わせの時も、席順の考え方は同じようです。
1.席順の持つ意味
一般的な座席のマナー
結納に限らず、一般的なマナーとして、「上座」と「下座」があります。
「上座」は客が座る席
→玄関や入口から遠い席。最も奥の席は上客が座る位置。
→床の間があれば、床の間に近く、庭を背にする側の席
「下座」は入口から近く、用事を行ないやすい席
→キッチンやお茶出しの出入りをしやすい席。
結納の座席のマナー
では、結納 や 結納返し での、座る位置についてはどのように座ればよいのでしょうか。
伝統的な結納には、地域によって儀式のしきたりや作法に違いがあります。
関東式:両家で結納の品を用意し、結納の儀式において交換する
関西式:女性側が結納の品を用意し、男性側に納める
また、本来、結納の際に仲人が両家の間を往復して結納品を一方から預かり、他方に納めましたが、現在では、関東式のように
、 『両家にて結納の品を用意し、結納の儀式において交換する』さらには『仲人をたてない』ケースがほとんどのようです。
このように、地方や「家」によって形式の違いはあるものの、一方、結納の席順は自宅・料亭・ホテル・結婚式場など、場所の違いに関係なく、男性側、女性側のどちらが「お客」であるかどうかに関わります。
「結納」 は、本来「男性側が女性宅へ出向く」 ので、男性側が「お客」で「上座」です。
現在多く行なわれる「同時返し」の結納(関東式)も、男性側が「お客」で「上座」です。
一方、「結納返し」 や 「養子をもらう結納」 は、本来「女性側が男性宅へ出向く」ので、女性側が「お客」で「上座」です。
2.場面分けでの席順
結納・同時返しの場合
「本人」主体か、「家」主体かによって座席がかわります。
「本人」主体の結納
上座:男性側 本人→父→母
下座:女性側 本人→父→母(最も入口に近い席)
「家」主体の結納
上座:男性側 父→本人→母
下座:女性側 父→本人→母(最も入口に近い席)
あるいは、
上座:男性側 父→母→本人
下座:女性側 父→母→本人(最も入口に近い席)
一方、仲人をたてる本格的な結納の場合は、地域や「家」の習慣が強くでるようです。
一般的には、仲人夫妻が上座(夫が男性側の最も奥、妻が女性側の最も奥)ですが、 結納の儀式の進行をする間は下座→滞りなく結納が済み会食となったら上座と移動するケースもあるようなので、両家でよく話し合って席順を決めるようにしましょう。
結納返し・養子をもらう結納の場合
基本的には「上座」と「下座」が入れ替わるだけになります。
「本人」主体の結納
上座:女性側 本人→父→母(最も入口に近い席)
下座:男性側 本人→父→母
「家」主体の結納
上座:女性側 父→母→本人(最も入口に近い席)
下座:男性側 父→母→本人
あるいは、
上座:女性側 父→本人→母(最も入口に近い席)
下座:男性側 父→本人→母
その他の家族の席順は?
結納の席では、多くは「両親+本人」あるいは「仲人+両親+本人」である場合が多いでしょう。
しかしながら、その他の身内が同席する場合もあるでしょう。
その場合は、
「本人→父→母」
「父→母→本人」
「父→本人→母」
のあとに続くと考えるとスムーズかもしれません。
順番としては、一般的に
祖父→祖母→兄→姉→弟→妹→おじ→おば…
となります。
実際にはそれぞれの家庭の事情にあわせて、また両家で相談しつつ席順を決めればよいでしょう。
※ 2016年8月 時点の情報を元に構成しています
「結納」 の キホン に含まれています