ウェディングドレスといえば「白」が一般的。
白のウェディングドレスは、かつてロイヤルウェディングから一般層に広まっていったといわれています。
また、和装やカラードレスへのお色直し、ウェディングの小物についても、着用する意味がしっかりと込められていることをご存知でしょうか?
そこで今回は、「結婚式での花嫁衣裳、婚礼小物を身に着ける本当の意味」をご紹介。
それぞれの意味や由来を知ると、衣装や小物選びがまた楽しくなりますよ♪
1.ウェディングドレスの色
ウェディングドレスの色といえば「白」がほとんどだと思います。
「白」には「純潔・無垢・純真」という意味が込められており、花嫁の純潔さ、純真無垢なイメージの象徴です。
この「ウェディングドレス=白」が定着したのは、1840年イギリスのヴィクトリア女王が自らの結婚式で白いレースとシルクサテンの生地のウェディングドレスとベールを着用してからといわれています。
ウェディングドレスの起源
純白の衣裳がはじまりは、エジプトやギリシャ時代にまでさかのぼります。
中世になると、花嫁の実家の富と権力を示すために、赤や青など濃い色のベルベットや絹のドレスに、
金・銀糸の刺繍、宝石がちりばめられた豪華な衣裳に変わりました。
その後、ベールだけが白でドレスの色はさまざまという時代が続きました。
ウェディングドレスに「白」を着用した王族の例は、ヴィクトリア女王より前にもあるのですが、 ヴィクトリア女王の結婚式以降、ファッションに敏感な裕福な上流階級の花嫁たちがこぞって「白」を着用するようになり、 一般に拡がったと考えられています。
昔のウェディングドレスは、肌の露出を控え、裾が長く腕も出さないのが特徴です。
そして悪魔除けとしてベールが必須アイテムでした。
現代のウェディングドレス
今どきのウェディングドレスは、身体のラインを強調したり、短い丈のドレスなどデザインが豊富。
宗教性や儀式性よりもファッション性が重視されています。
また、ウェディングドレスの「白」についても、かつてよりも結婚平均年齢が上がっている現代では、 結婚を機にあらたな人生を歩き出す「白=リセット」する色、という解釈もあるようです。
時代の移り変わりによって、ウェディングドレスも変わってきているのですね。
和婚の白無垢
日本の代表的花嫁衣裳といえば「白無垢」。
こちらも「白」ということではウェディングドレスと同じです。
一般に「相手(相手の家)の色に染まるように真っ白のままで嫁ぐ象徴」という説明がされますが、本来の意味は、ちょっと異なるそうです。
諸説あるようですが、そのうちの2説をご紹介しましょう。
1)結婚式が神事であるという説
花嫁の白無垢は、神職が着る斎服の流れを汲むものとして、 結婚式が神に仕える神事であることから「神聖な白」を着て執り行ない、 その後、人間界に戻った証として色打掛を着るとされています。
2)婚家の人間として生まれ変わるという説
かつて「白」は葬儀の際に着る着物の色でした。
生まれた家を出ることで「死」(=生家での人生の終わり)を迎え、「あの世」の者(=鬼)となるのですが、
白無垢と「角かくし」で角(角=鬼)を隠して婚儀を行うことで、婚家の人間として新たに生まれ変わることができるとされました。
その象徴として「角かくし」を取り(角が取れる=「この世」の者になる)、 色打掛(赤=血液、あかちゃん)を着ます。
また、白無垢は婚家に骨をうめる覚悟を表したともいわれ、 「家」制度が強くあった時代に定着した習わしといえるでしょう。
2.各アイテムのご利益
花嫁衣裳としては、ウェディングドレスのほか、いろいろなアイテムが必須です。
幸せな結婚生活を願って、それぞれに意味が込められています。
ウェディングベール
ウェディングベールはヨーロッパで古くから続く伝統的なアイテムです。
清浄(しょうじょう)のシンボルであると同時に、花嫁を悪魔や悪霊から守るものとして考えられていました。
新婦の顔を覆うベールはふたりの間にある『壁』の象徴でもあります。
挙式で行われるベールアップの儀式は、ベールを新郎が取り払うことで、ふたりは一緒になれるという意味合いがあります。
綿帽子
和婚においても、ウェディングベールと同じような意味合いを持つものとして綿帽子があります。
綿帽子には「浄化」「神聖化」という意味があり、
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魔除けのために被った
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鬼となる角をおさえるために被った
などといわれています。
その形としては、もともとは老女が防寒用またはほこり除けに被っていたものが原型で、それが婚礼用に美しく整えられたようです。
そして、昔は結婚相手以外に顔を見せてはいけないとされていたことから、婚儀の間、花嫁は綿帽子で顔を隠します。
そして、三三九度のあと綿帽子をとり、参列者に顔を見せます。
オレンジの花のヘッドドレス
「白」のウェディングドレスのトレンドを作ったヴィクトリア女王は、そのほかにもウェディングアイテムの定番を作りました。
その一つとして「オレンジの花のヘッドドレス(花飾り)」があります。
女王でありながら、豪華な王冠でなかったことも、ファッションに敏感な当時のセレブたちに広く受け入れられました。
由来は古く、ギリシャ神話において、ゼウスがヘラとの結婚の際にオレンジを贈ったという逸話にさかのぼります。
オレンジの花は白く甘い香りがすることと、繁栄と多産のシンボルともされており、ヨーロッパではもともと結婚の時に花嫁がオレンジの花を頭に飾る習慣がありました。
もっとも、オレンジの花の咲く時期がとても短く、たいていのオレンジの花飾りはロウワックスによる造花ですが、「枯れない」ため、代々受け継がれるようです。
ティアラ
現代の正統派ウェディングドレスにあわせられるアイテムです。
本体は宝石をちりばめた宝冠で、ロイヤルウェディングなどの正式な行事で用いられるものです。
王冠の宝石は星空をあらわすとされています。
古来より星空は神聖なもの、そして、重大な決断や誓いは星空のもとで立てました。
そして愛を誓うのも星空のもと。
ティアラを頭に載せることで、星空の神々から祝福と繁栄が授けられ、永遠の愛を誓うという意味が込められています。
グローブ
結婚前の花嫁の純真無垢な状態を、グローブで守り清めるという意味があります。
そのほか、19世紀のイギリスでは「富の象徴」として、「(使用人がいるため)家事をしません」という花嫁の宣言のアイテムともされました。
結婚指輪
指輪は、その形状から「永遠=エンドレス」を意味します。
結婚指輪を左手薬指につけるのは、
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心臓の血管がつながっているという古代エジプトの言い伝えから
- 西洋では、左手は「服従と信頼」、薬指は「愛情」を示すから
と言われています。
また、指輪交換には、結婚後の財産をふたりで共有する宣言の意味も込められています。
リングピロー
指輪交換の際の結婚指輪を、落ちないようにリボンなどで留めておく小さなクッションのことです。
新婦が手作りしたり、友人からのプレゼントとしても多いアイテムです。
指輪を留めるリボンが「絆」をあらわす、とも言われています。
また、赤ちゃんが生まれたときの最初の枕をリングピローにすると元気に育つという言い伝えもあるようです。
パール
もともと海から誕生するパールは純真無垢というイメージです。
古代ギリシャでは幸福な結婚生活が送れるよう、結婚式にパールを身につけました。
粒も大きく見栄えもよいことから、華やかな結婚式には向いています。
またパールはその形状から花嫁の涙の象徴ともいわれています。
ブーケ&ブートニア
ブーケはその昔、ある男性が女性にプロポーズに向かう道すがら、咲いていた野の花を摘み、それを女性に手渡しました。
そして、そのプロポーズに対し、女性は「はい」という返事の代わりに、その花束のなかの一輪を抜き出し、男性の胸のボタンボールに挿しました。
これが「ブーケ」と「ブートニア」の始まりといわれています。
なお、ブートニアはフランス語で「ボタンホール」を意味します。
ブーケとブートニアは同じ花材で作ります。
ウェディングケーキ
披露宴の必須アイテムとして、ウェディングケーキがありますね。
これもヴィクトリア女王が広めた結婚式の習慣です。
当時すでにケーキを塔のように重ねるアイデアと技術はあったのですが、一般には広まっていませんでした。
それが、ヴィクトリア女王の結婚式でのケーキによって、背の高い3段のシュガーケーキが定着しました。
材料に使われるものにもそれぞれ意味があります。
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豊かさ:砂糖、バター、卵
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豊潤:ぶどう
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繁栄と幸せ:木の実
なお、シュガーケーキは長期保存が可能なため、3段ケーキには次のように用途がわかれています。
一番下:披露宴の列席者のために
中段:当日列席できなかった方々のために
最上段:結婚1周年あるいは赤ちゃんが生まれたときのために
同じく高く積むものにクロカンブッシュ(小さなシュークリームをカラメルで固めたタワー状のお菓子)がありますが、こちらは子宝に恵まれる象徴といわれています。
ドラジェ
ドラジェはアーモンドの実を色とりどりの砂糖ペーストでコーティングしたお菓子です。
アーモンドには子宝に恵まれるという意味があり、「幸福」「健康」「富」「子孫繁栄」「長寿」を願って5つ包むとされています。
ウェディングベアー
ウェルカムベアとも言い、受付や披露宴の中座の際、新郎新婦のかわりとして席に置かれたりするアイテムです。
クマは英語で「bear」。
クマは母性愛が強く、子宝に恵まれる縁起ものとして、クマのぬいぐるみが用いられています。
他にbearには「耐える」という意味があり、結婚生活をふたりで乗り越えることを象徴しています。
ちなみに、よく用いられるテディベアは、第26代アメリカ合衆国大統領セオドア・ルーズベルトが、狩りのときに捕らえた子熊を逃がしてやった逸話が大きな反響を呼んだことから、おもちゃメーカーが大統領の相性「テディ」をとって売り出したクマのぬいぐるみのことです。
3.まとめ
このようにアイテムには、ひとつひとつ意味が込められていることがわかります。
そして、本来の意味を考えていくと、なかなか奥深いですよね。
もちろん、センスのよいデザイン面からアイテム選びをすることもステキですが、由来にちなんで選んでみることオススメです。
ぜひ、素敵な花嫁衣裳&小物選びをしてみてくださいね。
※ 2016年8月 時点の情報を元に構成しています
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