かつて、結婚への段取りとして、婚約に際し結納金などの準備をして結納を行なうのは当然の流れでした。
けれども現在は、形式にこだわらない顔合わせ食事会を行なう傾向にあります。
今どきの結納事情と形式、結納の進行方法についてご紹介します。
1.結納する事の意味
現在、結納を行なうカップルは全体の25%となっています(「みんなのウェディング」アンケート調査による)。
つまり、カップルの大半は結納を行なわず、しきたりにとらわれない「顔合わせ食事会」を行なうようです。
もともと結納は、「ゆいのもの」と呼ばれ、2つの家が新しく婚姻関係を結ぶために、男性側の家族がお祝いの席へ酒肴の現物を女性のもとへ持っていき、女性側の家族は料理を出してもてなした儀式です。
このお酒や肴が、次第に花嫁の衣裳や装身具に取って替わり、伝統的な結納品は簡略化され、形式的な添え物のようになりました。
このように、結納では「結納金」や「結納品」の準備をします。
ところが、それなりの費用がかかることと、「結納品」は現在では日常に役に立つものではないため、実用性を重視して、現在では「結納」の形式よりも親睦に重点を置いた「顔合わせ食事会」が好まれるようです。
しかしながら、親世代にとって、あるいは地域によっては「結納」を行なうことは結婚に向けたプロセスとして当然ととらえる場合があります。
自分たちふたりだけの感覚ではなく、両家両親とも話し合って結納をどのように行なうか、あるいは行なわないか、行なわないならばどのようにするのか、しっかりと決めていくことをおすすめします。
体験談
「略式結納(仲人なし)/自分たちもけじめをつけたかった」
■家族がけじめとしてしておいた方がいいと言ったのと、自分達も厳かにけじめをつけたいと思ったからしました。(20代後半女性)
2.結納した人、しなかった人の理由
結納をした人の理由
【けじめをつけることができる】
付き合いの長いふたりが、結納を行なうことであらためて「いよいよ結婚するのだ」という新鮮な意識が高まったり、結婚に向けてきっちりと両家の足並みがそろう、というメリットがあります。
結納を「けじめ」の儀式と位置づけ、結婚式に向けてダッシュするには、よいきっかけとなりますね。
【結婚へのプロセスを意識できる】
「古くて形式的」と思われがちな結納ですが、結納→結婚式→披露宴という踏むべきプロセスとして、いまでも「結納するのがあたりまえ」という地域があります。
体験談
「仲人なし/略式結納9品目/けじめとしてよかった」
■結納をすることで結婚するんだという自覚が生まれ、また、親も娘が嫁ぐのだという実感がわいたみたいです。けじめの一つとしてこのような伝統行事は行った方が良いと思います。(30代前半女性)
結納をしなかった人の理由
【お金がかかる】
結納金をはじめとする金品だけでなく、結納ならではの「結納品」のやりとりがあります。
しかしながら、結婚後の実生活にすぐ役立つものではなさそうです。
そのための費用をわざわざかけるのは「必要ない」と考える人が多いようです。
【形式的で堅苦しい】
もともと結納は古い考えに基づき、「嫁をもらう」「嫁にいく」ことを形式的に表しています。
いまどきの時代やカップルの意識とはそぐわない面が多いのかもしれません。
体験談
「結納」よりも「顔合わせ会」のような形式で行なった」
■私たちは結納というよりは「顔合わせ会」を行いました。堅苦しい結納を行うのはなかなか大変だと思います。両家の両親の意向もくみつつ、負担のない、そして、お互いが家族になれる喜びが感じられるような式になることを考えながら話す言葉や流れ、演出を考えるとよいと思います。(30代前半女性)
3.結納の形
結納には「正式結納」と「略式結納」があります。
また、最近の傾向として、結納のかわりに「顔合わせ食事会」を行なうケースがあります。
次にそれぞれの形式をご紹介しますので、結納をする・しないを検討中のカップルのみなさん、ぜひ参考にしてみてくださいね。
正式結納
正式結納とは仲人に両家を行き来してもらうことで成立し、両家同士は顔を合わせないのが特徴です。 正式な結納はまず仲人を立て、以下のような順序で両家を行き来します。
・仲人は男性宅を訪問して口上を述べたあと、男性側からの結納品を受け取って退出する
・仲人は女性宅を訪問し、口上を述べて男性側からの結納品を渡したあと、女性側からの受書と結納品を受け取って退出する
・仲人は再び男性宅へ戻り、口上を述べて女性側からの受書と結納品を渡したあと、男性側からの受書を受け取って退出する
・仲人は再び女性宅へ戻り、口上を述べて男性側からの受書を渡す
・女性側は受書を受け取った後、仲人を酒肴で仲人をもてなして酒肴料としてお礼金を渡す
仲人を務めてくれた方には、酒肴料というお礼金をお渡しするのがマナーです。
ただ、この方法だと両家が遠方の場合は移動が大変ですから、家と家との距離を考えて行いたいですね。
体験談
「仲人あり/結納品9品目/両親の強い希望だった」
■結納はうちの両親の強い希望で行いました。
娘を嫁がせる方としては、略式でも良いので行って欲しいとのことでした。両家とも価値観が似たところもあり、もめることなく執り行うことができました。注意すべきことは、結納の際に、地域性があるならばしっかり話しておくことは必要です。(20代後半女性)
略式結納
略式結納では、仲人を立てる場合と仲人を立てない場合があり、両家の行き来はせずにホテルなどの会場や女性側の自宅に両家が集まって結納品の受け渡しを行うのが特徴です。
仲人を立てない場合は、新郎の父親が進行役となることが多く、儀式を以下のような手順で進めていきます。
・結納品は床の間か台座などに置き、男性側は向かって右、女性側は向かって左に着席する
・男性側からの結納品を納める
・女性側が目録を確認して受書を渡す
・女性側からの結納品を納める
・男性側が目録を確認して受書を渡す
・婚約記念品を披露し、結びの挨拶の後、食事会に移る
近年では仲人を立てずに簡単に済ませる場合が多いようです。 両家両親の意向をよく確認し、どの程度の略式結納を行うのか相談してくださいね。
体験談
「仲人なし/結納品9品目/用意はしたが、形式にはこだわらず」
■夫側の両親から「結納をさせてほしい」という丁寧なお願いがあったため。そこまでしきたり等を気にしていなかったので、結納品と結納金をきちんと用意しておいて、後は比較的カジュアルに行った。(30代前半女性)
顔会わせ食事会
食事会成功のポイントは、当日の進行や挨拶例、配席まで心配りをし、形式にとらわれないまでも、きちんとした和やかな雰囲気作りを心がけることです。
結納のように形式が決まっていないだけに、事前の打ち合わせが大切になります。
また、儀式らしさを出すために、デパートや式場などで結納セットを購入して、食事会の席で結納金や結納品の交換を取り入れるなど、略式結納に近い食事会の形式をとるケースも多いようです。
顔合わせ食事会の進行例
1)2人のエスコートで会場へ
当日は、予約時間の5分前を目安に会場へ着くようにし、2人がお互いの家族をエスコートして食事会の部屋へ案内しましょう。
着席の仕方については、洋室の場合も和室の場合も同じで、上座から両家の父親、母親、本人という形で向かい合わせに座ります。
2)開始の挨拶
入室して着席をしたら、食事が運ばれてくる前に男性本人が進行役となり、挨拶をします。
男性「本日は私たち2人の婚約にあたり、お集まりいただきましてありがとうございます。本日はどうぞよろしくお願いします。」
3)両家の家族紹介
男性本人が、自分の親を紹介し、続いて女性本人が自分の親の紹介を行ないます。
名前を紹介するとともに、仕事や趣味、性格、ユニークなエピソードなども交えて話すと、場がなごやかになるかもしれません。
4)ふたり(両家)の結婚の意思の確認
男性父が結婚の意思を表明し、女性父が結婚に賛意を示します。
男性父「○○さんは本当に素敵なお嬢様で、このたびの結婚を待ち望んでおりました。これから何卒よろしくお願いいたします。」
女性父「○○君は、大変誠実な好青年で、娘は実に素晴らしい人と良縁を得たものだと、私どもも喜んでおります。こちらこそ、よろしくお願いします。」
5)ふたり(両家)の結婚への謝辞
男性母、続いて女性母が謝辞を述べます。
男性母「これをご縁に、どうぞ末永くよろしくお願いいたします。」
女性母「こちらこそ、どうかよろしくお願いいたします。」
6)婚約記念品の交換
男性から婚約指輪のお披露目を行ない、女性からは結婚記念品のお返しとして、時計やスーツのお仕立て券などを用意して贈り合うケースが多いようです。
7)記念撮影
食事が始まる前、お酒が入らないうちに、まずは1枚、写真撮影をおすすめします。
ホテルや式場の写真室にて、あるいは会場スタッフに撮影をお願いするとよいでしょう。
8)乾杯後、会食スタート
男性側の父親の乾杯の挨拶と音頭で、いよいよ会はスタートです。 結婚式へのスケジュールなどの打ち合わせを行なうのもよいですね。 お酒の飲みすぎには注意しましょう。
9)締めの挨拶とお礼
食事が一通り済んだところで、お開きにします。 2人で締めの挨拶を行いましょう。
「本日はお忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうございました。結婚に向け、何卒どうぞよろしくお願いします。」
最後に両家の父親も男性側、女性側の順に挨拶をすると、きちんとした雰囲気になります。
※ 2016年8月 時点の情報を元に構成しています
「結納」 の ハウツー・ノウハウ に含まれています