結婚式に招待されることは光栄なことだけれど、親しい間柄であれば頼まれやすいのがスピーチや乾杯の挨拶。
人前でのスピーチや挨拶は苦手で、という方は多いものです。
苦手なことだからこそしっかりと準備することで、少しでも当日の不安を和らげませんか?
結婚式のスピーチ・挨拶の種類
結婚披露宴の挨拶には「祝辞」と「謝辞」があります。
祝辞はふたりや両家へのお祝いを伝えるためにゲストが行うもの、それに対して謝辞は出席のお礼を伝えるために両家代表として新郎の父や、新郎が行うものです。
祝辞は主賓、同僚や友人など立場の違いにより、期待されている内容も異なります。
ゲスト側のスピーチ<祝辞・友人代表スピーチ>
ゲストの立場別スピーチには次の特徴があります。
主賓
勤務先の方の上司や上役、学生時代の恩師など目上で社会的立場のある方にお願いすることが多い主賓。主賓とは「全招待客の代表」という意味です。それだけにフォーマルなスピーチが期待されます。
同僚
会社で出会った時の印象や仕事ぶりなど、仕事上での顔から知られる人柄を知れるようなスピーチを期待されています。ふたりが家庭を築いて行く上で、「このふたりなら大丈夫、しっかりとやっていける」と思わせるようなスピーチをするのが同僚スピーチの役目です。
友人
幼馴染など古い付き合いだからこそのほのぼのとしたエピソードや、友情を感じさせるスピーチを期待されています。スピーチを聞いた人に「いい友達を持っている」と思わせるのが友人スピーチの役目です。
【共通】使ってはいけない言葉など、基本マナー
晴れの舞台での挨拶で、結婚式を台なしにするなんてことがあったら大変!
先ほどの説明のようにスピーチには期待される役割があり、その役割を果たすには基本マナーがまず大切です。
マナーをしっかり理解して、最高の挨拶にしましょう。
忌み言葉、重ね言葉は避ける
おもに、忌み言葉・重ね言葉とは、
- 別れを連想させる言葉(例:別れる、切る、切れる、離れる)
- 不幸・不吉な言葉(例:敗れる、悲しむ、嫌う、九、四)
- 繰り返す重ね言葉(例:繰り返す・繰り返し・再び)
のことを指します。
これらは、お祝いの席での常識として、縁起が悪いといわれ絶対に使ってはいけません。忌み言葉のなかには日常会話でよく使う言葉もたくさんあるため、無意識のうちに話してしまうことがないよう、十分に注意しましょう。
暴露話や過去の恋愛についての話は避ける
いくら新郎新婦本人に承諾をとって話す内容でも、主賓や友人の挨拶、乾杯の際に暴露話は気持ちのよいものではありません。
また、もう時効だろうから、と過去の恋愛話をするのもNGです。
ひょっとすると、過去の恋愛にかかわるゲストが出席しているかもしれません。
新郎新婦のことでなくても、誰かを不愉快にさせる可能性のある内容は避けましょう。
(例:昔新婦は泣いてばかりの恋愛だったけれど新郎と出会えて本当に良かったね!)
くだけすぎた内容や話し方にはしない
結婚式はさまざまなゲストが出席しています。
新郎新婦への親しみを込めたスピーチのつもりでも、くだけた内容(下ネタなど)・話し方は会場の他のゲストに「場をわきまえない非常識なスピーカー」という印象を与えてしまいます。
どの世代のゲストでも安心して聞くことができる内容・話し方を心がけましょう。
(例:新婦は高校の時ギャルで、あの時の写真を見返したら、ほんとにマジでありえないと思ったよねー)
自慢話はしない
結婚式は新郎新婦が主役です。
友人の結婚式であるにもかかわらず、自分の仕事や実績を話す人をときどき見かけますが、これもNG。
あくまでも新郎新婦の話題を中心に、スピーチの内容を組み立てましょう。
(例:私がグランプリを取った時、新婦はたくさんお祝いしてくれました。本当にあのグランプリを取るのは大変でした)
【スピーチ別】話す長さのめやす
新郎側、新婦側の主賓からの祝辞はたいてい披露宴の序盤にあります。
アンケート調査によると、話術に長けた人のスピーチであっても、「3~5分くらい」が適切な所要時間
、という回答が最も多く寄せられました。
話術に自信があるゲストは、新郎新婦のことをうまくほめようと工夫してくれるでしょう。
ところが、一生懸命話せば話すほど、食事の時間が遠のきます。待たされている側からは、10分を超えると内容にかかわらず「長い!」と感じてしまうようです。
結婚式ほどほめられるときはない、ともいわれています。新郎新婦としても、会場ゲストの前でしっかりとほめてもらうとうれしいもの。
短すぎるスピーチではそれが十分とはいかないかもしれません。短いスピーチがよいとはいえ、内容を満たすための長さはある程度必要のようです。
ベストな長さは
- 乾杯の挨拶 1分~2分
- 主賓祝辞 3分
- 友人代表スピーチ 3分
程度です。
例文はこのベストな長さ、もしくは若干短めになっています。文章量としても参考になさってくださいね。
文章が短く感じる場合、心持ちゆっくり目にはっきりと、ゲストや新郎新婦の目を見て話すように心がけると短すぎる印象は感じられないでしょう。
当日までに確認しておくこと
スピーチを任されたら、真っ先に原稿作成に取り組むのではなく、事前に新郎新婦に確認すべきことがあります。
- 新郎新婦の名前
- スピーチの順番
- 持ち時間
- 披露宴の規模やスタイル
今までご紹介した注意事項を踏まえて「何を期待されている」スピーチなのかを考えて下書きしてみましょう。
聞きやすい文章のコツ
スピーチの原稿を書く際には、一文を短めに書くようにしましょう。
一文を短くというのは、句読点の「、」で結ぶ部分を減らし、「。」までの文字数を短くする形です。これによって一文で伝えることをひとつにすると聞いている人が聞きやすくなります。
どれだけ長くても一文は50字以内に。できれば30字程度にしておくとすっきりと伝わりやすい文章になります。
【ゲスト】主賓挨拶・祝辞&乾杯の挨拶の基本的な構成
基本的な構成と所要時間は以下の通りです
※( )内は乾杯の場合の時間。
- 導入1……30秒
- 導入2……30秒
- 本 題……1分半(30秒)
- 結 び……30秒
主賓による挨拶・祝辞のコツ
主賓は両家のゲストの代表という意味です。
主賓を置かない(勤務先の上司や恩師などを招かない)結婚披露宴も増えた現代、主賓スピーチがあるのは披露宴の格を上げる目的があります。砕けるよりはフォーマルな文面が適しています。
《導入1》祝福の言葉
せっかくの晴れ舞台。
まずは主役である新郎新婦、そしてご両家に向けてお祝いの言葉を述べましょう。
この時新郎新婦が立ったままの場合、着席を促しましょう。
話し始めは明るく笑顔でハキハキと話し始めると、場の雰囲気も良くなり、他のゲストも耳を傾けてくれますよ。
《導入2》自己紹介
簡単な祝辞を述べたら、次に自己紹介をしましょう。
新郎または新婦にとって自分がどういう関係なのかを簡潔に紹介します。
ここで注意したいのは、会社説明が長引いたり、自分の話を多くしてしまわないようにすることです。
《本題》新郎新婦とのエピソード
ここがメインとなるパートです。
新郎新婦の人柄が他のゲストにも伝わるような話を紹介したり、印象的だった思い出などを盛り込むと良いでしょう。
普段他のゲストが知らない新郎新婦の一面がわかるような側面や、評価・尊敬している点などを挙げると、場も和みますよ♪
《結び》新郎新婦へのメッセージ
挨拶の締めとして、これから夫婦生活を送るふたりにメッセージを送りましょう。
ふたりへの祝福の言葉をあらためて述べたり、応援メッセージを送ると、聞いているゲストも拍手しやすく、挨拶を無事終えることができます。
【ゲスト】主賓挨拶・祝辞&乾杯の挨拶文例
披露宴では、始まりを飾る重要なパートが、主賓挨拶・乾杯挨拶です。
このパートにおいて押さえておくべきポイントをしっかり把握しておきましょう♪
主賓挨拶・祝辞
新郎の上司の場合
ただいまご紹介にあずかりました新郎の勤務先の上司にあたります、◯◯と申します。
僭越ではございますがご指名いただきましたのでお祝いの言葉を述べさせていただきます。みなさまどうぞご着席ください。
おふたり、並びにご両家のご親族の皆様には心よりお祝いを申し上げます。
新郎とは、彼が新入社員として私の部署に配属された時からの付き合いです。
(新郎の仕事ぶりなどを盛り込んだ内容を話す)また、ふたりの新しい門出を祝して私からアドバイスを贈りたいと思います。
(アドバイスを伝える)長くなりましたがこれをもちまして私の挨拶とさせていただきます。
本日は本当におめでとう。
新婦の恩師の場合
〇〇(新婦)さん 〇〇(新郎)さん 本日は誠におめでとうございます。
ご両家のご親族の皆様にも心よりお慶び申し上げます。私は〇〇バレエ教室の〇〇です。〇〇(新婦)さんが私のレッスンを受講しておりましたご縁で、このようなおめでたい席にお招きいただきまして大変光栄なことでございます。
甚だ僭越ではございますがひとことお祝いの言葉を述べさせていただきたいと思います。みなさまどうぞご着席ください。
バレエというと華やかな世界というイメージをもたれるかもしれません。
しかし実際には練習時間も長く体力も必要な世界で、たくさんの方がチャレンジしてみては続かないことも多いものです。
〇〇さんは3歳の時に初めて教室を訪れました。
そんな小さいころから辛い練習にも耐え、レッスンを休まず15年間も真面目に取り組んできました。〇〇さんは努力家で何事にも向上心をもって挑んでいく生徒でした。そんな姿は教えている側だけでなく、周りの生徒たちにとても良い影響を与えてくれました
今のご活躍があるのは、ご本人の努力の賜物であることはさることながらご家族の支えもあったことと思います
ご家族に大切に育てられてきたことをどうぞ忘れないでくださいね。
これからは〇〇(新郎)さんとともに支えあい明るい家庭を築いていってほしいと願っています。末永くお幸せに
本日は誠におめでとうございます
叔父の場合
A君 Bさん ご結婚おめでとうございます。
ただいま紹介にあずかりました、新郎の叔父の○○と申します。A君の実家とは家が近いこともあってA君一家とは親しい付き合いをしてきています。
A君のことは産まれる前から知っているといってもいいでしょう。産まれるまで性別は聞かずにいたA君の両親ですが、男の子が産まれたことはとても嬉しかったようです。A君の祖父母も大変な喜びようでした。
A君は小さいころよくうちに遊びに来てくれました。 うちの子どもは娘ですので、A君と一緒に将棋をしたりゲームで対戦をしたり、男の付き合いができたことはとても楽しい思い出です。
夏にはバーベキューや花火を楽しんだり、冬には雪だるまを娘と作ったり、私の家族の歴史にA君もいたように思います。少年のころの想い出が多いですが、いつの間にか私の背を抜く立派な青年になり、今日このようによい伴侶を紹介してくれたことに感激しております。
たまには昔のように、今後はぜひBさんと一緒に家にも遊びにきてください。
本日は誠におめでとうございます。
主賓挨拶を親族に頼む場合の多くは親族のみの披露宴です
そのため着席のままのスタイルも珍しくなく、着席を促す文言は盛り込んでいません
主賓挨拶だとかしこまらず、アットホームな雰囲気を活かして、小さなころの話を盛り込むのがよいでしょう
乾杯挨拶
新婦の上司が話す場合
おふたり、並びにご両家のご親族の皆様には心よりお祝いを申し上げます。
ただ今ご紹介にあずかりました、新婦と同じ職場の○○でございます。
僭越ではございますが、ご指名でございますので、乾杯の音頭を取らせていただきます。新婦とは5年間一緒に仕事をしております。
(新婦とのエピソードなどを簡単に話す)これからたくさんの困難も待ち受けているでしょう。
どんな時もふたりで力を合わせ、幸せな家庭を築いて下さい。それでは皆様、乾杯の御唱和をお願い致します。
ご両家のご繁栄と新郎新婦の末永いご幸福を祈念致しまして 乾杯!
乾杯の場合は着席をしてもよいのですが、短い時間に立ったり座ったりになるよりも、手短にまとめることが重要です。
そして何より、乾杯のタイミングが会場のゲストに伝わるように「乾杯をしたいと思います」など準備の言葉を入れるようにすることです。
司会者はこの言葉を聞いて「皆様グラスをお持ちいただき、ご起立をお願い致します」などの言葉でゲストに立つように促しますので、全員が立ちグラスをもって乾杯の合図を待っていることを確認してから「ご両家の~」と言い始めます。
そして「祈念いたしまして」で一呼吸おくと全員で「乾杯」のタイミングがそろいやすくなります。「乾杯」は明るく笑顔で言いましょう。 乾杯の際はグラスを目の高さまで上げ、新郎新婦の方を向きます。その後ゲストの方を向いてからグラスに口を付け、席に戻ります。グラスはスタッフが対応してくれます。
乾杯の挨拶の文章そのものは短いものですが、このように会場のゲストの動作に合わせて話す必要があるため所要時間としてはその分長くなります。また、周囲の様子をみて話すタイミングを合わせていくのが難しいところです。
【ゲスト】友人・同僚・上司の代表スピーチ文例
ここでのポイントは主賓挨拶のタイミングとは違い歓談中に行われることが多いということです。全員が手をとめてスピーチに耳を傾ける環境ではないかも知れませんので、より聞き取りやすいようによりはっきり話すほうがよいでしょう。
友人からのスピーチ文例
新婦の友人が話す場合
おふたり、並びにご両家のご親族の皆様には心よりお祝いを申し上げます。
ただ今ご紹介にあずかりました、新婦と同じ高校の同級生の〇〇でございます。
僭越ではございますが、友人を代表してこの場で挨拶をさせていただきたいと思います。どうぞご着席ください。
新婦とは同じ高校でクラスが一緒だったことから仲良くなりました。
(ここから新婦との思い出を話す)長くなりましたが、これをもちまして私の挨拶とさせていただきます。
本日は本当におめでとうございます。
これからのおふたりの幸せを心より願っております。
同僚からのスピーチ文例
新郎の同僚が話す場合
おふたり、並びにご両家のご親族の皆様には心よりお祝いを申し上げます。
ただ今ご紹介にあずかりました、新郎の〇〇君と同じ職場で働いております〇〇でございます。どうぞご着席ください。
〇〇君とは入社以来日々切磋琢磨をして過ごして参りました。
いつも期待以上の成果を出すその姿勢は社内でも大変評判で、私たち同期も刺激をもらっています。
(ここから新郎との思い出を話す)長くなりましたが、これをもちまして私の挨拶とさせていただきます。
本日は本当におめでとうございます。
これからのおふたりの幸せを心より願っております。
上司からのスピーチ文例
新郎の上司が話す場合
おふたり、並びにご両家のご親族の皆様には心よりお祝いを申し上げます。
ただ今ご紹介にあずかりました、新郎〇〇君の上司でございます〇〇と申します。どうぞご着席ください。
彼が私の部に配属になり〇年経ちます。
そんな〇〇君の日頃の仕事への姿勢は目をみはるものがあります。
(ここから新郎との思い出を話す)長くなりましたが、これをもちまして私の挨拶とさせていただきます。
本日は本当におめでとうございます。
これからのおふたりの幸せを心より願っております。
【ゲスト(友人)】二次会での友人スピーチ文例
新婦の友人が話す場合
新婦の同じ高校の同級生の○○です。
友人を代表してこの場で挨拶をさせていただきたいと思います。新婦とは同じ高校でクラスが一緒だったことから仲良くなりました。
(ここから新婦との思い出を話す)ぜひおふたりの新居にも遊びに行かせてください。
本当におめでとうございます。お幸せに。
二次会は基本的に友人や歳の近い親族のみですから、少し崩した感じのほうが受け入れやすいでしょう。スピーチの間でも新郎新婦が着席したままのことも多く着席を促す文言は入れていません。
スピーチのカジュアルさ加減は、会場の雰囲気にもよって考えましょう。
結婚式のような晴れの舞台でのスピーチはとっても緊張しますよね。
新郎新婦やゲストの心に残るような素敵な挨拶で、素敵な1日に花を添えましょう♡
スピーチで迷う言葉の使い方はこちらの記事も参考に
※ 2021年12月 時点の情報を元に構成しています
「ゲスト」 の ハウツー・ノウハウ に含まれています