「お大事になさってください」は体調がすぐれない相手を気遣って使う言葉です。
その正しい意味と、会話やメールでの使い方、「お大事になさってください」と言われたときの返事の仕方などを知って、コミュニケーションに役立ててください。
「お大事になさってください」の意味は?
「大事」は健康に気をつける様子を意味しています。「お大事に(してください)」は「病気や怪我などに気をつけて」と体調がすぐれない相手を気遣う意味があります。
「する」の尊敬語である「なさる」を用いた「お大事になさってください」は、相手の体調を気遣う丁寧な表現です。
先生や上司など目上の人を気遣って使う
「お大事になさってください」は先生や上司のような目上の人に対して使う丁寧な表現です。取引先などビジネスの相手に対して使っても失礼にはあたりません。相手への心配やよくなってほしいと思う気持ちを伝えられるやさしい表現です。
上司の子どもなど相手の家族に対して使うことも
人づてに体調不良だと聞いたときや、直接伝えられないときに「〇〇さんに『お大事になさってください』とお伝えください」と伝達をお願いする使い方もあります。
上司の配偶者や子どもなど、目上の人の家族に対して使ってもOKです。言葉どおり体調を崩している本人を気遣いつつ、その家族に対するねぎらいの意味も込められています。
「お大事になさってください」の前につける言葉
「お大事になさってください」だけでも丁寧な表現ですが、「どうぞお大事になさってください」のように程度を強める副詞を前につけるとより丁寧な印象になります。
「どうぞ」のほか「どうか」「くれぐれも」「なにとぞ」などを前につけることができます。
「お大事になさってください」を使った会話・メール例文
「お大事になさってください」を使った例文を紹介します。言う相手やシーン別の使い方を確認しておきましょう。
体調を崩している本人に対して
体調を崩している本人に対して伝えるときの例文です。体調不良で会社や学校を早退するような場面では直接、すでに休んでいるときはメールで伝えるとよいでしょう。メールを送る場合は返事はいらない旨を添えると相手の負担が軽くなります。
また、職場の先輩など一緒に仕事をしている相手であれば、仕事の引き継ぎが問題ないことや上司からの伝言を含めて安心して休めるような気遣いができるとよいでしょう。
例文
早退される旨、承知いたしました。無理をなさらずお大事になさってください。
引き継ぎいただいた案件について、対応完了いたしました!こちらのことは心配なさらず、どうぞお大事になさってください。
体調は落ち着きましたか?お返事は不要ですので、くれぐれもお大事になさってください。
その後体調はいかがでしょうか?部長より、仕事のことは気にせずゆっくり休むようにとのことです。お大事になさってください。
相手の家族に対して
相手の家族が体調不良だと知った場合、知っている事実を伝えたうえで「お大事になさってください」と伝えましょう。近しい家族の体調不良であれば、本人もお見舞いや家の用事などで負担が増える場合があります。家族だけでなく相手自身のことも気遣えるとよいですね。
例文
奥様が体調を崩されていると伺いました。くれぐれもお大事になさってくださいとお伝えください。
お子様のご様子はいかがでしょうか?どうぞお大事にとお伝えください。お見舞いなどの都合がありましたら遠慮なくお申し付けください。
奥様の体調不良のことを聞きました。お大事になさってくださいとお伝えください。先輩も無理をなさらず、お体にお気をつけください。
「お大事になさってください」の言い換え表現
「お大事になさってください」と似た意味を持つ表現を紹介します。相手やシーンに応じてうまく使い分けましょう。
ご自愛ください
「ご自愛ください(ごじあいください)」は「あなた自身の体を大切にしてください」という意味。手紙やメールの結びに添えることが多い言い回しです。すでに体調を崩している人には使わないように注意しましょう。また「体を」の意味が入っているため「お体をご自愛ください」という使い方は間違いです。
▼「ご自愛」の正しい使い方やシーン別の例文
養生なさってください
「養生(ようじょう)」は体を大切にして健康状態をよくすることを意味します。「養生なさってください」は、体調を崩している人に対してよく休んで回復してほしい気持ちを伝える丁寧な表現です。目上の人に対して使うこともできる、お見舞いに適した表現です。
静養なさってください
「静養(せいよう)」は、心や体をゆっくりと休めて病気や疲れを直すことを意味します。「静養なさってください」はお見舞いに適した表現で、目上の人に対して使うこともできます。仕事やほかのことは気にせずゆっくり休んでほしい気持ちを伝える表現です。
お労りください
「お労りください(おいたわりください)」は体を大事に、自分自身をねぎらってほしいと相手を気遣う表現です。病気や入院中の相手だけでなく、疲れが溜まって元気がない相手に対しても使うことができます。手紙やメールの結びの言葉としてもよく使われます。
お厭いください
「お厭いください(おいといください)」は「お労りください」と同様の意味で、手紙やメールの結びに「お体をお厭いください」のように使われます。お見舞いや体調を崩していない相手への挨拶としても使われますが、あまり一般的ではありません。
また「厭う(いとう)」には嫌がるという意味もあるため、お見舞いの意味で使うときはひらがなで表記したほうがやさしい印象になるでしょう。
「お大事になさってください」と言われたら?返事の例
「お大事になさってください」と言われたら、相手に気遣ってくれたことへの感謝を伝えましょう。会話やメールで使える返事の例を紹介します。
例文
お気遣いいただきありがとうございます。
お心遣いに感謝いたします。
ありがとうございます。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。なるべく早く復帰できるよう努めたいと思います。
やさしいお心遣い、大変うれしいです。ゆっくり休ませていただきます。
「お大事になさってください」の英語表現
英語で「お大事になさってください」と体調を崩している相手を気遣う英語表現はこちら。
”hope”を使い「相手の回復を願っている」という気持ちを伝えるのが定番です。
例文
I hope you will get well soon.(早くよくなってほしいと願っています。)
相手を選ばず、誰にでも使いやすい表現はこちら。友人や同僚、知り合い、親戚など幅広い関係の人に使えます。よりカジュアルな間柄では”Hope you will get well soon.”と I を省略して使うことも。
Please take care of yourself.(体に気をつけてください。)
Please make sure you rest.(よく休んでください。)
こちらはふだん忙しくしてなかなか休めない人に「こんなときくらいちゃんと休んでくださいね」の意味を込めて使うイメージです。
相手の体調や疲れを気遣う「お大事になさってください」は日常会話やビジネスシーンでも使えるやさしい言葉です。言われた側もホッとうれしくなりますよね。意味や使い方を理解して、失礼のないように使いましょう。
※ 2022年7月 時点の情報を元に構成しています
「生活・家事・ライフスタイル」 の 雑学 に含まれています