結婚式やビジネスの発表の場で、誰かの紹介を受けて「ご紹介にあずかりました…」と言うことがあります。
その正しい意味と使い方、メールなどテキストで表現するときの書き方を解説します。スピーチやメールで使える例文も参考にしてください。
「ご紹介に預かりました」は間違い!
誰かに紹介してもらったことを「ご紹介にあずかりました…」と言うことがありますが、「預かりました」と書くのは間違いです。
「預かる」は人のものなどを手元に置くことを意味しています。紹介してもらったことについては「ご紹介に与りました」と書くのが正解です。
「ご紹介に与りました」の読み方と意味
「ご紹介に与りました」は「ごしょうかいにあずかりました」と読みます。この「与る(あずかる)」は、主に目上の人から何かを受ける、してもらうといった意味があります。
したがって「ご紹介に与りました」は、「(目上の人に)紹介していただきました」という丁寧な意味になります。ただ、「与る」という表記になじみがない人も多く、誤りだと捉えられることや、読み方がわからないこともあります。 誤解を避けるためには「ご紹介にあずかりました」とひらがなで書くのが無難かもしれませんね。
「ご紹介にあずかりました」の使い方
相手を立てる意味があるので、社外の人や司会者など目上の立場の人に紹介されたときに使います。
「〇〇社の〇〇部所属の〇〇さんです」のように紹介された場合は、すでに紹介された肩書は省いて「ご紹介にあずかりました〇〇です」のように自己紹介するのがスマートです。
社内の人など身内に紹介されたときは使わない
紹介者が社内の人など身内の立場である場合は「ご紹介にあずかりました」は使いません。
身内を立てる必要はありませんから、「ご紹介に…」は省略するのが基本です。そのまま軽く挨拶を済ませて「はい、では…」のように本題に入りましょう。
ビジネスシーンや結婚式で使える例文
ビジネスシーンや結婚式のスピーチなどで使える「ご紹介にあずかりました」の例文を紹介します。シーンに合わせて上手に使いましょう。
社外の人に向けた自己紹介
企業同士の会合やセミナーなどで、社外の人に向けて自己紹介をする際の例文です。他社の進行役や司会者からの紹介を受けて使います。
例文
〇〇様からご紹介にあずかりました、株式会社〇〇の〇〇と申します。
本日はよろしくお願いいたします。
ただいまご紹介にあずかりました〇〇です。
さっそく説明を始めさせていただきます。
ビジネスメール
取引先などの紹介を受けて、初めてメールを送る際の例文です。見知らぬアドレスからの連絡は身構えてしまいますから、紹介者を示すことで相手の警戒を解き、続く文章を読んでもらいやすくなります。
例文
株式会社〇〇の〇〇様よりご紹介にあずかりました、株式会社〇〇の〇〇と申します。
共同プロジェクトについて、事前の打ち合わせを行いたくご連絡いたしました。
初めてメールさせていただきます。株式会社〇〇の〇〇と申します。
株式会社〇〇の〇〇様よりご紹介にあずかりました。
結婚式のスピーチや発表の場
結婚式でお祝いのスピーチや余興を行うときに、司会者から「新郎の大学時代からのご友人でいらっしゃいます〇〇さまです。どうぞよろしくお願いいたします」のように紹介されることがあります。
紹介を受けたら、一言自己紹介をしてスピーチや発表を始めるといいでしょう。
例文
〇〇くん(新郎) 〇〇さん(新婦) 本日はおめでとうございます
ただいまご紹介にあずかりました〇〇です
僭越ながら、お二人へのお祝いの言葉を述べさせていただきます
ご紹介にあずかりました〇〇大学〇〇部です
〇〇くん(新郎) 〇〇さん(新婦) ご結婚おめでとうございます
お祝いの気持ちを込めて、歌と演奏をお届けしたいと思います
▼結婚式のスピーチのコツと文例をチェック
よく似た表現の意味と使い方
「ご紹介にあずかりました」によく似た表現の意味と使い方を解説します。それぞれ少しずつ意味や敬語の度合いが異なるので、場面に応じて使い分けましょう。
ご紹介を賜りました
「ご紹介を賜(たまわ)りました」は、「ご紹介にあずかりました」より敬意の高い表現です。意味は同じく紹介してもらったことですが、とくに改まった場や相手の立場が高い場合に使います。
ご紹介いただきました
「ご紹介いただきました」も丁寧な表現ですが、紹介者の立場に関係なく使うことができます。「いただく」は「もらう」の謙譲語です。多くの人にとってなじみのある言葉なので、カジュアルな場でも意味が伝わりやすいでしょう。
ご紹介に上がりました
「上がる」は相手のところや場所に「行く」の謙譲語で、「ご紹介に上がりました」は自ら紹介しに来たという意味になります。よって、誰かの紹介を受けて使うのは不適切です。
「ご紹介にあずかりました」のように、よく耳にするもののきちんと意味を理解していない言葉は意外とありますよね。
結婚式のようなかしこまった場では、言葉を正しく使いこなせるようにしたいですね。
※ 2022年5月 時点の情報を元に構成しています
「披露宴演出」 の 雑学 に含まれています