ビジネスや冠婚葬祭の案内状など、かしこまったシーンで使用する「つきましては」。何気なく使っている人も多い言葉ですが、実は使う位置や文脈によって意味が変わるため、知らず知らずのうちに誤用してしまっているケースも少なくありません。
この記事では、正しい意味と使い方を、ビジネス・プライベート・結婚式の案内状など、シーン別の例文とともに解説します。ワンパターンなメール表現を卒業したい人のための、類語・言い換え表現もあわせてチェックしていきましょう。
「つきましては」の2つの意味と漢字表記
「つきましては」には、接続詞と丁寧語の2つの使い方があります。正しく使うためにまずはその違いを整理しておきましょう。
【意味1】接続詞として:「したがって」「そういうわけで」
前の文章を受けて「~なので次はこうします」と話をつなぐ、接続詞としての使い方です。依頼・案内・提案の前置きとして使われることが多く、文頭に置くのが基本です。会議やセミナーといった公式の場はもちろん、ビジネスメールや案内文でも広く使われます。
【例文】
- 今月付で〇名の方が入社されました。
つきましては、下記日程で歓迎会を行いますのでふるってご参加ください。
【意味2】丁寧語として:「~に関しては」「~については」
文中で特定の事柄を指して「この件については」と説明・報告につなげるときの使い方です。「について」をより丁寧・改まった敬語表現にしたもので、公式の場での説明や報告によく使われます。
【例文】
- 手続きの詳細につきましては、こちらの窓口でご案内しております。
漢字は「就きましては」だが、ひらがな表記が一般的
漢字表記は「就きましては」と書きます。「就」には、「したがう、そのことに取りかかる」といった意味があります。実際のビジネス文書やメールでは、パッと見て読みやすい「ひらがな」で表記するのが一般的です。
目上の人に使える?「つきましては」の基本マナーと注意点

「つきましては」は非常に丁寧な言葉なので、上司や取引先にも安心して使えます。ただし、以下の3つのポイントには注意が必要です。
上司・取引先など目上の人にも使ってOK
「つきましては」は公式の場に適した丁寧な表現のため、上司や取引先などの目上の人に対して使っても失礼にはなりません。話し言葉・書き言葉のどちらでも同様に使えます。
同じ文章内での繰り返しは避ける
丁寧な表現ではありますが、1つのメールや文書の中で何度も使うと、しつこい印象を与えてしまいます。「つきましては」の使用は1通につき1回程度を目安にし、2回目以降は「したがいまして」や「また」などの類語で代替するのがスマートです。
重大な謝罪シーンでは使い方に注意!
「つきましては」は、前の内容を受けて次のアクションへと話をつなげる事務的なニュアンスを含みます。そのため、深刻な謝罪の直後に使うと「反省よりも、早く次の対応を済ませたい」という印象を与えてしまうことも。 謝罪シーンでの正しい切り替え方は、後述の例文で詳しく解説します。
「つきましては」を使ったシーン別例文【結婚式・プライベート編】

「正しい使い方はわかったけれど、実際どう書けばいいかわからない」という方のために、シーン別の例文を紹介します。結婚式の招待状やお礼状、親戚への連絡時の正しい使い方を見ていきましょう。
結婚式の招待状・案内状で
結婚式の招待状では、「つきましては」を使って参加のお願いへ自然につなげます。お祝い事の文面では「縁を切らない(区切りをつけない)」という意味を込めて、句読点(。、)を使わないのがマナーです。
【例文】披露宴の招待状
- このたび 私たちは結婚式を挙げることとなりました
つきましては 日ごろお世話になっている皆さまにお集まりいただき ささやかな披露宴を催したく存じます
【例文】受付・役割のお願い
- 〇〇様には当日の受付係をお願いしたく存じます
つきましては 式の開始〇時間前の〇時までに会場へお越しいただけますでしょうか
結婚式のお礼状・お礼メールで
感謝を伝えた流れで、お返しの品を案内する場面です。押しつけがましくならない柔らかいトーンを意識しましょう。こちらも同様に句読点はつけないのがマナーです。
【例文】ご祝儀・お祝いへのお礼状
- このたびは心温まるお祝いをいただき 誠にありがとうございました
つきましては ささやかではございますが お礼のしるしに心ばかりの品をお贈りいたしますので どうかお受け取りください
【例文】参列へのお礼とご報告
- 先日は私どもの披露宴にご参列くださり 誠にありがとうございました
皆さまのおかげで 思い出に残る式を挙げることができました
つきましては 新居も整いましたので ぜひ一度お越しいただければ幸いです
親戚・身内への連絡で
親戚への結婚報告やお礼状、法要の案内など、親族間でも礼儀を重んじたいシーンにも適しています。
【例文】入籍・転居の報告
- このたび〇月〇日に入籍し、〇〇市に新居を構えました。
つきましては ご挨拶かたがた近々お伺いできればと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【例文】お中元・お歳暮のお礼状
- 本年もご丁寧にお心遣いをいただき、誠にありがとうございます。
いただいたお品につきましては、家族みんなでありがたくいただいております。
「つきましては」を使ったシーン別例文【ビジネス編】

続いて、日常的なビジネスシーンでの例文です。「自分のケースに近い例文」を参考に、今日のメールや資料からさっそく実践してみましょう。
ビジネス・職場への連絡で
職場への報告では、相手に余計な時間を取らせないよう、何が起きて、何をしてほしいのかを簡潔に伝えるのがマナーです。
【例文】結婚による苗字変更の通知
- このたび結婚し、〇月〇日より姓が「〇〇」から「〇〇」に変わりました。
つきましては、今後のご連絡やお手続きの際にはご配慮いただけますようお願い申し上げます。
【例文】産休取得と業務引き継ぎの連絡
- 〇月〇日より産前休業を取得させていただくこととなりました。
つきましては、担当業務の引き継ぎにつきましては〇〇に対応をお願いしております。
ご不明な点がございましたら、休業前までにお申し付けください。
謝罪・お詫びのとき(軽微なケース)
日程変更や連絡の遅れなど軽微なお詫びでは、謝罪の後に代替案をそのまま続けてもOKです。
【例文】日程変更のお詫び
- 先日は直前にご都合の変更をお願いすることとなり、大変失礼いたしました。
つきましては、来週中に改めてお時間をいただけますでしょうか。
【例文】欠席連絡が遅れたお詫び
- ご連絡が直前になってしまいましたこと、誠に申し訳ございません。
つきましては、改めてお祝いのご挨拶に伺えればと思っております。
【NG例あり】謝罪・お詫びのとき(重大なケース)

謝罪の直後に「つきましては」を使うと、相手に「反省よりも事後処理を優先している」という事務的な印象を与えてしまいます。重大なトラブルやミスを謝罪する際、接続詞としての使用は避けるのが無難です。
使う場合は「~に関しては」という意味の丁寧語として使い、まずはお詫びの対象を明確にして謝罪に専念しましょう。
【NG例】
- 誠に申し訳ございません。つきましては、今後はこのようなことがないよう再発防止に努めてまいります。
【改善例】
- 〇〇の件につきまして、多大なるご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。今後このようなことが二度と起きないよう、原因の究明と再発防止に全力で取り組んでまいります。
「つきましては」と「おかれましては」の違い
似た響きの言葉に「おかれましては」がありますが、使い方は全く異なります。
-
つきましては:「事柄」に用いる(例:この件につきましては)
- おかれましては:「人や組織」に用いる(例:皆さまにおかれましては)
主にメールの冒頭で「皆さまにおかれましては、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます」のように、相手の安否を尋ねる際の定型句として使われます。人に「つきましては」を使うと失礼になるため、混同しないよう注意しましょう。
「つきましては」の類語・言い換え表現

「つきましては」にはそれぞれの意味に応じた言い換え表現があります。場の雰囲気や文章の硬さに合わせて使い分けることで、より自然な文章になります。
接続詞(したがって)の言い換え
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したがいまして:最もフォーマル。公的な文書やスピーチに最適。
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そこで:少し和らいだ表現。同僚や親しい上司への提案に。
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これにより:原因と結果をはっきりさせたい、論理的な説明に。
- そういうわけで:ややカジュアル。口頭での説明などに。
丁寧語(~については)の言い換え
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~に関しては:少し硬い表現。論理的に説明したい時に。
- ~については:シンプルで使いやすい表現。メールでも多用されます。
フォーマルさが求められる場面では「つきましては」を、内容をスッキリ伝えたい場合はこれらの言い換え表現を選ぶと、文章にリズムが生まれます。
「つきましては」を正しく使って、丁寧な印象を伝えよう
「なんとなく使っていた」から卒業するだけで、メールや案内文の印象はぐっと変わります。「前の内容を次につなぐ接続詞」なのか、「特定の事柄を指す丁寧語」なのかを意識しながら、類語もうまく取り入れて、相手に伝わる丁寧な文章を心がけてみてくださいね。
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※ 2026年3月 時点の情報を元に構成しています
「結婚式準備」 の 雑学 に含まれています