結婚式のスピーチなどで使われる「雨降って地固まる」ということわざ。その正しい意味や使い方を知っていますか?
お祝いの場で使ってもいいのか、状況別の例文や言い換えに便利な類語表現と合わせて紹介します。
「雨降って地固まる」の読み方と正しい意味は?
「雨降って地固まる」は「あめふってじかたまる」と読み、揉めごとの後はかえってよい結果や安定した状態を保てるようになることを意味することわざです。
人は雨を嫌がりますが、雨が降った後にかえって土地が固く締まってよい状態になることに由来するたとえです。
「雨降って地固まる」の使い方
「雨降って地固まる」は悪いことがあった後にかえっていい結果になったときに使うことわざです。会話や文章では次のような言い回しがあります。
- まさに雨降って地固まる
- 雨降って地固まるように
- 雨降って地固まるというように
人間関係を言い表す際に使われることが多く、第三者が使う場合と本人が使う場合の両方があります。
結婚式で使ってもOK!でも なじみの薄い世代も
「いい結果になった」ことを表すことわざなので、結婚式のようなおめでたい場で使っても問題ありません。
スピーチで使う場合の例文を紹介します。
友人代表のスピーチで使う場合
仕事仲間や友人として新郎新婦にお祝いのスピーチをする際は、「雨降って地固まる」に当てはまるふたりのエピソードを紹介して使うといいでしょう。
また、過去のエピソードではなく「これから訪れるであろう困難を乗り越えて仲を深めていってほしい」とのエールの意味で使うこともできます。
例文
喧嘩ばかりしていたふたりが
今では雨降って地固まるで親友のようなよきパートナーになっています
新郎の異動により遠距離となったふたりですが
遠距離恋愛中にじっくり愛を育み
見事ゴールインとなりました
雨降って地固まるとはまさにこのことですね
これからの結婚生活 楽しいことも困難なこともあるでしょう
雨降って地固まるというように
ふたりで乗り越え手を取り合って
夫婦としての絆を深めていってほしいと思います
ウェルカムスピーチで使う場合
雨の日の結婚式では、新郎新婦のウェルカムスピーチで「雨降って地固まる」を使うことができます。雨がいい結果が訪れる兆しであるというように雨を明るく表現するとゲストもほっと和んでくれるかもしれません。
例文
本日はお足元の悪いところ
私たちのためにご出席くださり誠にありがとうございます
雨降って地固まるとはいうものの
ここまでの大雨を起こすつもりはございませんでした
しかしこれでふたりの絆はより固く夫婦円満が約束されたものと
大船に乗った気持ちでおります
若い世代ではなじみがない人も
結婚式でも使えることわざですが、若い世代ではなじみが薄く古さを感じる人もいるようです。聞いたことはあってもなんとなくの意味しか知らないという人も。
また「雨降って地固まる」を使うときに「雨=悪いこと」が指す事柄が明確でないと、「このふたり、なにか問題があったの?」と勘繰られてしまう可能性もあります。使う際は文脈に気をつけて、明るいトーンで話すようにするといいでしょう。
ビジネスや日常会話での使い方と例文
結婚式のほかにもビジネスや日常会話で「雨降って地固まる」を使った例文を紹介します。
ビジネスシーン
討論会では火花を散らして言い合っていた両者だが、お互い感心するところがあったようでその後談笑する姿が見られた。まさに雨降って地固まるだ。
チーム内で対立があったが、一度意見をぶつけ合った結果目指すところは同じと再認識できた。雨降って地固まるようにチームとして結束したようだ。
日常会話
言い争いの絶えない幼なじみ同士だが、喧嘩のたびにお互いの意見を知ってより仲が深まっているようだ。まさに雨降って地固まるといったところだ。
両親と揉めて逃げるように一人暮らしを始めたが、距離ができたことで冷静に相手の立場を思って話せるようになった。雨降って地固まるで以前より良好な関係を築けている。
これはNG!「雨降って地固まる」の間違った使い方
人間関係について「第三者の介入によって事態が落ち着く、いい結果になる」という意味で使うのは誤りです。ほかにも「偶然のきっかけでいい結果になる」といった誤用もあるので注意してください。
間違った例
他人同士だったふたりが、共通の友人の紹介で出会い交際にいたりました。まさに雨降って地固まるですね。
同じ時間の電車を利用していて偶然知り合い、雨降って地固まるように仲のいい友人になりました。
「雨降って地固まる」の類語・言い換え表現
「雨降って地固まる」の言い換えに使える似た意味のことわざや慣用句を紹介します。相手や場面に応じて使い分けてみてください。
災い転じて福となす
身に降りかかった災難をうまく活用して、自分に役に立つように利用すること。または厄介なことが一転していい結果を招くことを意味します。「災い(禍)を転じて福となす」という場合もあります。
例文
刑事トラブルに巻き込まれたのがきっかけで法律を学び、災い転じて福となすように今の仕事につながっている。
怪我の功名
失敗や不幸な出来事、事故などによって思いがけないいい結果がもたらされること。また何気なくしたことが偶然にいい結果をもたらすことを意味します。
例文
道に迷ったが、怪我の功名で素敵なお店を見つけることができた。
雨の後は上天気
揉めごとや困難の後はいい結果やいい関係になることが多いという意味です。雨の後の晴天は気持ちのいいものですから、意味を知らない人にもイメージしやすい表現かもしれません。
例文
怒って家を飛び出した妻だったが、一人の時間を満喫できたようで雨の後は上天気というように上機嫌で帰ってきた。
破れりゃ固まる
失敗することによってかえって事態がよくなることを意味します。腫れ物は破れてうみが出ると固まって治ることからきています。
例文
失敗しても破れりゃ固まることもある。これを次に活かせるようにしよう。
喧嘩の後の兄弟名乗り
喧嘩をしても仲直りすると以前よりお互いを理解してより仲良くなれるという意味です。実際に喧嘩に対して使う場合が多くなっています。
例文
大喧嘩をしたカップルだが、以前より本音を言い合える仲になったそうだ。まさに喧嘩の後の兄弟名乗りだ。
困難を乗り越えて結婚したことやふたりの門出を祝うエールとしても使われる「雨降って地固まる」。
基本的にはいい意味のことわざですが、聞く人に誤解を与えないように文脈や言い換えの工夫が必要な場面もありそうです。ぜひ、正しい意味と使い方を知っておきましょう。
※ 2021年11月 時点の情報を元に構成しています
「披露宴演出」 の 雑学 に含まれています