相手に感謝を伝える「大変ありがとうございます」という言葉。
「なんだか変…」「違和感がある」などの声を聞くこともありますが、敬語表現として正しいのでしょうか?
本記事では「大変ありがとうございます」が敬語表現として合っているのかどうかを考えます。その意味や使い方、知っておくと便利な言い換え表現やメールでのお礼の伝え方も合わせてチェックしておきましょう。
「大変ありがとうございます」はおかしい?正しい意味は
相手に深い感謝を伝えたいときに「大変ありがとうございます」と言うことがあります。「ありがとうございます」は「ありがとう」の丁寧語で、頭に程度を強調する「大変」をつけてより深い感謝を表しています。
「とても」よりもかしこまった表現で、ビジネスシーンや目上の人に感謝を伝える場面でよく使われます。現在進行している事柄に対しての深い感謝の気持ちを伝えるときに使い、「大変にありがとうございます」という表現をすることも。
ビジネスなどのシーンでの使用例
お忙しい中、ご丁寧に対応くださり、大変ありがとうございます。
出張の際にはいつも細やかなお気遣いをいただき、大変にありがとうございます。
結婚式のウェルカムスピーチでの使用例
本日はお忙しいところ 私たちの結婚式に足をお運びいただき 大変ありがとうございます
その他の感謝を伝えたい場面での使用例
わざわざお電話いただき、大変ありがとうございます。
素敵なプレゼントをいただきまして、大変ありがとうございます。
「大変」は程度を表す副詞
「大変」は程度がはなはだしいさまを意味する”程度副詞”です。対象の事柄の程度を強調したいときに使う言葉で、同じ意味の「とても」よりやや改まった印象を与えます。
程度副詞にはほかに「誠に」「はなはだ」「大いに」「きわめて」などがあり、それぞれ後に続く言葉によって使い分けます。
文脈によっては違和感を感じる人も
「大変ありがとうございます」は敬語としても正しい表現ですが、文脈や場面によっては違和感を感じる人もいるようです。
「大変」が特に「苦労が並々ではないこと」に使われることが多いため、ポジティブな意味の「ありがとうございます」と結びつきにくいのかもしれません。
また「大変失礼いたしました」「大変お待たせいたしました」のように「~た」と終わる表現では違和感が少ないことから、「~ます」という現在形との組み合わせも違和感の原因ではないかと考えられます。
「大変ありがとうございます」の言い換え表現
丁寧な言葉ではありますが、違和感を感じる人もいるので「大変ありがとうございます」の言い方にこだわりがないなら別の表現に言い換えてみてはいかがでしょうか。
心より御礼(感謝)申し上げます
「御礼申し上げます」は感謝を伝えるかしこまった表現です。「心より」とつけるとより丁寧で、言われた側はうれしい気持ちになりますよ。
厚く御礼申し上げます
同じく感謝をかしこまって伝える「御礼申し上げます」に「厚く」をつけ、感謝の気持ちの大きさを表した表現です。
感謝の念に堪(た)えません
感謝の気持ちが抑えられないほどであるという意味。同様に「感謝の念を抱く」「感謝の念を禁じ得ない」などの表現があります。
感謝の言葉もありません
言葉もない、つまり言葉では表せないほど深く感謝しているという意味の慣用表現です。「感謝の言葉が見つかりません」「感謝の申し上げようもございません」も同じ意味になります。
深謝の意を表(ひょう)します
より深い感謝を意味する「深謝(しんしゃ)」を用いて、感謝の気持ちの大きさを伝える表現です。
▼結婚式のスピーチで参列のゲストに感謝を伝えたいときはこちらの記事を参考に!
メールや手紙で感謝を伝える表現
メールや手紙で感謝を伝えるときも、先に紹介したような口語と同じ表現で問題ありません。
そのほか主に書き言葉で使われる「拝謝します」「拝謝いたします」「拝謝申し上げます」という表現もあります。「拝謝(はいしゃ)」が謙譲語なので、目上の人に対して使うようにしましょう。
いくら感謝しているといっても、何度も感謝の言葉を並べると大袈裟だと思われてしまうこともあります。感謝の言葉の数ではなく文章全体の印象を大切に、読んでうれしい文章を意識するとよいでしょう。
深い感謝を表す「大変ありがとうございます」とそれに代わる言い換え表現を紹介しました。
使う相手や場面に応じて、表情やしぐさも意識しながら上手に感謝の気持ちを伝えられるといいですね。
※ 2021年10月 時点の情報を元に構成しています
「披露宴演出」 の 雑学 に含まれています