新婦はお父さんとの思い出が少なかったそうです。出張も多く、仕事から帰ってくるのも夜中で新婦が寝てしまって後になる事も多かった多忙な日々のお父さん。
小さい頃の学校行事や部活の大会にもお父さんの姿はなく、とても寂しかったのだそう。
新婦が成長し、思春期を迎える頃からは、新婦もお父さんを避けるようになり、仕事で余裕の出来たお父さんが家にいてもなかなか会話をする機会がなかったそうです。
そんなお父さんと絆が深まるある出来事がありました。
吹奏楽
新婦は中学高校時代に吹奏楽部に所属し、そこでクラリネットを演奏していたそう。
コンクールの全国大会にも出場する程の名門学校で厳しい練習を重ねる毎日でした。
高校卒業後は楽器を演奏する機会も減ってしまいましたが、ある日新婦はお母さんから新婦のお父さんも昔はクラリネットを吹いていたのだという話を聞きました。
お父様は自分と同じように娘が音楽が好きに育ち、そして吹奏楽部でも同じクラリネットを選んでくれた事が嬉しいと、幸せそうに話していたそうです。
打ち合わせ
そのような話を新婦から聞き、ぜひ披露宴でお父様と新婦の演奏をしてみませんか?と提案しました。
お父様は何十年も演奏していないので不安だとおっしゃりながらもなんだか嬉しそうです。この日からお父様と新婦は再びクラリネットの練習をする日が始まりました。
クラリネットを一緒に練習することで、二人の距離もどんどん縮まっていった とか。
当日の素敵な生演奏
披露宴当日、お父様と新婦のクラリネット演奏の時間が近づいてきました。久々に練習をしたとは思えない程、二人とも上手な演奏で、そして二人のイキもぴったりでした。とてもたくさん練習したんだろうと私も胸が熱くなりました。
ところが曲の終盤、お父様の目は涙であふれ、段々演奏が出来ない状態 に。
それに気づいた新婦の目からも涙が。
新婦の結婚を喜びお祝いする気持ちと同時に、娘を取られてしまう寂しさ、そしてもうこれで一緒にクラリネットを吹く機会もなくなるだろうという寂しさが込みあげて来たのだそうです。
それを聞いていたご家族も新郎もゲストの方々ももらい泣き。一生の思い出になる演奏でした。
無事に結婚式も終わり、その後も新婦が実家に帰った時は父と娘ででクラリネットを吹いて楽しんでいるのだそうです。
そして、今度は孫の披露宴後でもクラリネットの演奏をしたい!と意気込んでいるそうですよ。
※ 2016年3月 時点の情報を元に構成しています
「披露宴演出」 の ハウツー・ノウハウ に含まれています