結納に使われる結納品。聞きなじみのない言葉もありますがそれぞれに意味のある縁起にこだわったものです。
結納品それぞれの意味、飾っておく期間や、役目を終えた後の取り扱い方など結納品にまつわることをご紹介します。
結納品とは
結納に使われる婚約のしるしの品のことです。
それぞれが縁起物としての意味を持っています。
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結納品の品目と飾り方
大きく分けて関東式と関西式をご紹介します。
どの地域であっても、贈るほうの地域風習にあわせて贈り、受け取るほうの地域風習にあわせて受け取ります。お互いの実家のエリアが異なる場合は戸惑わないように事前に話し合っておくのがよいでしょう。
注意したいのは、たとえば贈る側が「結納返しはいりません」と配慮して伝えたつもりが、受け取る側の地域によっては「結婚後の親戚づきあいは一切しません」という意味になることもあります。
地域の習わしは、狭いエリアで異なる場合があります。地元の結納品店など専門家にアドバイスをしてもらうとよいでしょう。
関東式
関東式は正式には、次の9品目を用意します。
- 【1】目録
- 【2】長熨斗(ながのし)
- 【3】金包(きんぽう、かねつつみ。結納金のこと)
- 【4】寿恵広(末広/すえひろ。白扇子一対のこと)
- 【5】友志良賀(共白髪/ともしらが。麻のこと)
- 【6】子生婦(こんぶ)
- 【7】寿留女(するめ)
- 【8】勝男武士(勝男節・松魚節/かつおぶし)
- 【9】家内喜多留(樽料/やなぎだる)
結納は関東式と関西式に大きくわかれますが、飾り方の大きな違いは関東式はすべての結納品を1つの白木の台に乗せて飾り、関西式はそれぞれの白木の台に乗せて飾る点です。
並べ方は地域によりしきたりが異なります。
熨斗は必ず添えるもののため目録の品数には書き入れないのが関東式の慣例です。指輪を贈る際には「優美和」もしくは「結美和」と記し、単位は一環。長熨斗の字の下に小さめの文字で書き入れます。指輪は江戸時代から行われている伝統的な結納の結納品の品目にはなかったため関東式ではこのような扱いになります。
また、略式の場合、品目を減らして贈った品目通りの目録にする場合と、目録には書き記し「贈ったことにする」という略し方があります。実際には贈らない結納品目でもすべてを書き記すのは、結納品目ひとつひとつに「祝い言葉」として意味があり、すべてをつなぎ合わせることで、夫婦円満や健康長寿、子孫繁栄などの意味が含まれる文章として成り立つと考えられているからです。
関東式では結納と結納返しを両家で取り交わすことで婚約が成立するので、結納返しは必ず行います。
目録も含めた結納のしきたりは、大きく関東式と言っても地域によってさまざまです。
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関西式
関西式では正式には、次の9品目を用意します。
- 【1】御帯(おんおび=結納金)
- 【2】家内喜多留(やなぎだる)
- 【3】松魚(しょうぎょ、まつお=かつおぶし、梅の水引で贈るのが習わし)
- 【4】熨斗(のし)
- 【5】高砂人形(たかさごにんぎょう)
- 【6】寿恵広(すえひろ)
- 【7】寿留女(するめ)
- 【8】結美和(ゆびわ)
- 【9】子生婦(こんぶ)
関東式との違いとして目録は品目数には含みません。
飾る際には画像のようにそれぞれの結納品を別の白木の台に乗せて飾るのが関東式との大きな違いで、見た目に豪華で華やかです。
優美和は関西式では水引細工として結納品の1品目になっていますが、婚約指輪を添えても構いません。現金は御帯、家内喜多留、松魚にわけて入れるのが決まりです。
関西式では結納は交わすものではなくて「納める」ものであるのも特徴。結納返しは行わない地域が多く、結納金の目安もそれに伴い関東式とは異なります。
中部地方は結納の方式では関西式の地域に含まれますが一部異なっていて、結納返しを行うのが一般的です。
また、例えば愛知県では同じ県内であっても尾張と三河では結納に使うアイテムが異なるなど結納は地域によって細かく違うものです。
結納後の結納品はどうする?活用方法と片付け方
結納を行なった際に、お互いの家から受け取った結納品や結納返しの品は、結婚式当日まで床の間のある和室に飾るのが正式です。 そして、床の間には「松竹梅高砂」または「鶴亀松竹梅」の掛け軸を掛けます。
結婚式に出席できない親族などから早めに御祝儀をいただいた場合は、その祝儀袋も結納と一緒に並べて飾ります。
ただし、ずっと飾るには場所をとることもあり、多くの家庭では 結納後2、3日飾った後、いったん片付けるようです。結婚式が近づき1週間前くらいに再び飾っておきます。
保管しておくべき期間
結婚式の当日は、家は留守なのですが、「家」のお祝いということで、必ず結納品を飾っておきます。結納品の役目は当日まで。
それを過ぎれば、箱に納めて保管するか、不要なものだけ処分してもよいでしょう。
なお、結納品を処分する場合は、神社のお札と同じように、神社に納め「おたきあげ」をしてもらいます。神社によって、納める方法が違うことがあるので、神社に確認することをおすすめします。
結納品目別の活用方法と処分方法
結納品のなかで、食用として消費できるもののほかは、記念としてあらたな飾り物として保管することができます。
再利用しないものや紙などの処分するものは神社に納めましょう。
水引飾り・熨斗
熨斗そのものは使いませんが、水引き飾りは、他の水引き飾りと組み合わせて飾りを作ることができます。手作りが苦手という方は、水引を使ったアートボードや羽子板飾りを作成してくれるショップもあります。
▼水引の活用アイデアをチェック!
羽子板は 床の間に飾っておくことができますし、女の子が生まれたときの初正月のお祝いに、とても縁起が良いといわれています。
目録
結納品の明細書となります。場所をそれほどとらないものですし、保管しておくと記念になってよいでしょう。
末廣(すえひろ)
中身の白扇子は、慶事の挨拶用に使うことができます。
指輪飾り ・ 記念品飾り
結納品の指輪を置いたり、結納返しの男性用のタイピンや時計などの記念品を置くための飾りですが、水引き飾り部分は再利用可能です。
金包(箱型または祝儀袋型)
結納金や結納金のお返しを入れる箱や祝儀袋ですが、水引き飾り部分は再利用可能です。
志良賀(しらが)、友白髪(ともしらが)
麻(あさ)が束ねられているもので、お札を家の柱に縛るのに使い、保存しておくと家の新築や増改築のときに使えるようです。
するめ・こんぶ・かつおぶし
早めに取り出して使い、食用にします。水引き飾りだけを結婚式終了まで飾っておきます。
高砂人形、福槌
夫婦和合と長寿の象徴として、そのままの状態で永く飾れる縁起物です。
小槌(こづち)
関西式で用いられる飾りです。新婦が「お金や通帳などをしまう場所」に一緒に入れておくと福が貯まるという縁起物です。
嫁入りの際に持参するもの、とされてきました。
酒
これは、 結婚式まで飾らずに早めに使って構わないとされています。結納の食事の席でいただいてもよいでしょう。
その他
「毛せん」は、子供が生まれたあと、節句飾りの敷物などに使えるので保管しておくとよいでしょう。
関西式の結納品のやりとりの際に必要となる「広蓋盆(ひろぶたぼん)」は、結納の都度購入するのではなく、その家の慶事道具として代々受け継いでいくものなのでこちらも大切に保管しておきます。
結納で用いられる大切なアイテムは丁寧に取り扱いを
結納で用いられた大切な品々は保存にしても処分にしても丁寧に取り扱いたいですね。
リメイクしたり、おいしく食べられるうちにいただいたりし、大切な思い出となるようにしましょう。
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※ 2022年3月 時点の情報を元に構成しています
「結納」 の ハウツー・ノウハウ に含まれています