婚姻届には証人ふたりに署名・捺印をしてもらう欄があります。
証人を誰に頼むべき?遠方の人に頼みたい場合の代筆の可否や、印鑑・本籍地・捨印欄の書き方、依頼する前に知っておくべき婚姻届の証人欄の書き方などポイントを解説します。
婚姻届の「証人」とは?必要な理由は?
婚姻届の証人とは、ふたりに結婚の意思があることを証明してくれる人のこと。
ふたりに「確実に」結婚の意思があることを書面で証明しなさい!といわれてもなかなかに難しいですよね。
そのためこのふたりには結婚の意思がありますよと、証明してくれる第三者=証人の署名・捺印が必要になります。
民法第739条でも「婚姻の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない」と定められています。
この証人欄は、誰かに勝手に婚姻届を出されたり、偽装結婚などの罪を犯したりすることを抑止するねらいもあるのです。
証人を依頼する相手に責任やリスクは発生する?
証人というとなんだか物々しい雰囲気。
もしもふたりの婚姻関係に亀裂が入った場合、迷惑がかかるのでは?と心配になりますよね。
しかし、証人になったことで何らかの責任を負わなければいけないということはまったくありません。 証人はただの証人で、結婚の意思を確認した人がその証明として署名をするだけなので、安心いただくよう伝えておくとよいでしょう。
婚姻届の証人は何人?夫・妻それぞれ1名の計2名必要
婚姻届に署名する証人は、夫婦それぞれの欄にひとりずつ、計ふたり分が必要となります。
結婚するふたりの必要事項が完璧でも、このふたりの証人からの必要事項が揃っていなければ、婚姻届は受理されないので注意が必要です。
書式の流れ的に証人欄も夫側・妻側となっているように見えますが、夫婦それぞれからひとりづつでも、夫(妻)側からふたり証人になってもらっても問題はありません。
婚姻届の証人になる条件は2つ
婚姻届の証人になるには以下の条件があります。
- 20歳以上
- ふたりが婚姻することを知っている
この条件にあてはまるなら、誰でもOK。
それぞれの家族はもちろん、友人や知人、日本に住民登録をしている方であれば外国籍でも大丈夫です。
1点気を付けたいのは、証人が夫婦の場合。
どちらかの両親や友人夫婦など、同じ姓のふたりに証人になってもらう場合は、夫婦それぞれが別々の人間であることを証明するために別々の印鑑での押印が必要となるので注意しましょう。
これで失敗なし!婚姻届の証人欄の書き方のポイント
意外と間違いが多い証人欄。
遠方の方に証人を頼む場合は特に、ミスを訂正してもらうのも大変ですよね。
では、証人欄を書くときにはどんなことに気を付けてもらったら良いのでしょうか?
間違いやすいポイントをご紹介しながら、書き方を解説していきますね。
1.証人の署名
「署名」欄には証人となる人の名前を書きます。
必ず証人本人に自署(自分で自分の氏名を書き記すこと)してもらいましょう。
2.証人の印鑑
「押印」欄に証人となる人の印鑑を押します。
印鑑は実印でも認印(三文判)でも大丈夫ですが、印面が変形する可能性があるゴム製のハンコやシャチハタは避けましょう。
3.証人の生年月日
「生年月日」欄には証人となる人の生年月日を記入します。
生まれ年は西暦ではなく、「昭和」「平成」の和暦で書きましょう。
4.証人の住所
「住所」欄には証人となる人の住所を記入します。
住民登録のある住所なので、単身赴任などで現住所と異なる人は注意が必要です。
5.証人の本籍地
「本籍地」には証人となる人の本籍地を記入します。
省略したりせず、正確な住所を書いてもらいましょう。
本籍地は住民票に書かれているので、わからない場合には事前に確認してもらうように伝えるのが安心ですね。
6.捨印
証人ふたりに捨印をもらっておくと安心です。捨印とは、訂正印の代わりになる印鑑のこと。
欄外に押して「※捨印」としておくことで、記入した文書に軽微なミス(誤字・脱字程度の間違い)があった場合には役所で訂正してもらうことができます。
捨印は署名捺印欄に使った印鑑と同じものを押してください。
書いてもらった証人欄に不備があった場合は
上で紹介した「捨印」で対応できるのは誤字・脱字等のごく簡単な間違いのみ。内容の修正には適用されません。
書いてもらった証人欄に不備があった場合、ふたりが勝手に修正するのはNG!書いた本人の訂正が必要です。 間違えた箇所に二重線を引いて訂正印を押し、欄外に正しく書き直してもらいましょう。
【証人のお願いの流れ】マナーを守りダンドリよくがポイント
婚姻届の証人に責任は発生しないと言っても、やはり依頼される側も緊張しますよね。
本籍地の確認や印鑑の用意などの手間もかかるため、マナーを守って丁寧にお願いすることがポイント!
また、こちらの説明不足で書き直しになってしまった!ということがないよう、依頼する際の説明やダンドリも大切ですね。
証人を依頼する流れは以下をおすすめします。
1.証人をお願いする人を決める
証人をお願いする人を決めます。
先ほど説明したように、夫婦それぞれからひとりづつでも、夫婦どちらかからふたりにお願いしても大丈夫です。
2.依頼内容を伝えてお願いする
証人を依頼したい人が決まったら、「婚姻の証人になって、証人欄に記入して欲しい」ことを伝えます。
婚姻届を提出したい日が決まっている場合には、相手を急かすことがないよう余裕をもってお願いするのが安心です。
基本的にはメールやLINEではなく、直接もしくは電話で口頭
で依頼するのがマナー。
知人や上司に依頼する場合には、結婚報告をしている人であることが前提なので、していない場合は結婚をすることになった旨から丁寧に伝えましょう。
相手から了承を得たら、以下のことを伝えた上で、記入してもらう方法や日時を相談しましょう。
- 婚姻届を提出する日
- 証人欄をいつまでに記入してもらいたいか
- 記入に必要な情報(住民登録の住所・本籍地)
- 記入に必要なもの(ゴム製でない印鑑)
3.署名・捺印してもらう
日時が決まったら婚姻届を持参して、署名捺印をしてもらいましょう。
記入方法の見本を持参すると丁寧ですね。
4.お礼を行う
目上の親類や上司などの職場関係、知人に依頼する場合にはお礼を持参するのが好印象です!
1,000~2,000円程度のお菓子やカフェのギフトカードなどがおすすめ。
お礼を兼ねてお食事に誘うのもいいですね。
遠方の方に証人を依頼する場合は郵送で!代筆はNG
証人が遠方にいる場合でも代筆はNG!
証人本人の直筆の署名が必要です。
郵送の際にはふたりが記入済みの婚姻届を送るのが一般的ですが、証人が家族などであれば、近くの役所で入手した婚姻届の証人欄を埋めてもらい、郵送してもらうという方法もあります。
万が一記載内容にミスがあった場合も、遠方だと訂正してもらうのは難しいですよね。
証人欄の間違いによる不受理を防ぐためにも、証人欄が正しく書けていることを確認してから、ふたりが署名捺印すると安心です。
証人を頼んだ相手とその理由は?【先輩カップルの体験談】
さて、実際に先輩カップルたちは誰を証人に選んだのでしょうか?
成年者であれば誰でもいいということで、いろいろなパターンがあるようです。 ぜひ参考にしてみてくださいね。
新郎&新婦の父が証人
一番多いのは両家のお父さまにお願いした!という意見でした。
結婚の承諾を得たのがお父さまの場合には、その証明として署名してもらうのが自然な流れですよね。
また、双方に婚姻届を確認してもらえるのも一石二鳥で便利という声も。
体験談1 結婚の挨拶の順番と同様に依頼
■結婚の挨拶も新婦側→新郎側なので、婚姻届の承認も新婦側→新郎側の父親にお願いしました。シンプルに「婚姻届の証人にサインしてほしい」と伝えました。(30代前半女性)
体験談2 お礼も要らず気軽に頼めたから
■両家の父親に頼めば身内なので気安く頼めて、お礼などしなくて楽です。保証人になってほしいことを電話で伝えました。(30代後半女性)
体験談3 夫の父親優先に手土産持参で
■旦那さんの父親をたてるため、旦那さんの父親を優先で。手土産も購入し、あらためてお家へお伺いし、ていねいにお願いしました。(20代後半女性)
体験談4 夫の父親をたてないと面倒なので…
■一応、夫の家を立てるため、夫の父親にしました。夫の実家は気難しいところがあって、一番にしておかないと、あとで面倒なことになるので(30代前半女性)
新婦の両親が証人
花嫁さんが、自分たちの両親に!と強く希望した場合はもちろん、身近で気軽に頼めるということから新婦の両親が証人になるケースもあります。
どちらかが遠方の場合には、近くにいる両親にお願いするのがスムーズです。
体験談5 新婦が婚姻届を所有していたから
■家族以外の人にお願いする時間もなかったし、特別にふたりを選ぶのも難しかったので、婚姻届を所有していた私の方の両親にお願いした。普通に、「婚姻届の承認欄にサインしてくれる?」とお願いした。(30代前半女性)
体験談6 新婦の両親が近くに住んでいたので
■相手の両親が近くに住んでいなかったので、近くに住む私の両親に頼みました。とくに特別なことも言わず、お願いしました。(30代後半女性)
体験談7 新婦の両親に婚姻届を取りに行ってもらってそのまま
■自分の親に証人欄に記入してもらいたいというのがあったので、「婚姻届を役所にもらいに行ってもらった際にそのまま記入して送って」と伝えました。(30代前半女性)
新婦の父親&新郎の母親が証人
とくにこだわりがなく、この組み合わせになったという人もいれば、認めてもらいたいほうの親に記入をお願いしたという人もいます。
新郎新婦それぞれの思い入れが、証人の組み合わせになったパターンもあるようです。
体験談8 婿養子を認めてもらいたかったから
■両家からそれぞれに証明をもらおうと思いました。養子さんに来てもらうことは最初は認めたくなかったあちらのお母さんにどうしても署名してもらおうと思いました。(30代後半女性)
体験談9 選んだ理由:こだわりはなく、たまたまだった
■ただ単に、会えた順番がそうだっただけで、とくにこだわりはないです。紙切れなのでね…。(20代後半女性)
体験談10 義父が他界していたため、義母と新婦父が証人に
■彼のお義父さんは前の年に亡くなっており、お義母さんに頼みたい、とのことでした。自分の父に頼んだのは、結婚を許してもらった、と感じたかったので(20代前半女性)
新郎父親&新婦の母親が証人
とくに意識せずに偶然この組み合わせになっただけ、という場合が多いようです。
それぞれの両親にどちらが書く?と聞いてみるのもいいかもしれません!
体験談11 両家どちらかひとりずつ
■実家の両親と義父母、一人ずつ証人になってもらおうと事前に思っていました。義父母の方が義理の父が証人になったので、私の方は実家の母に証人になってもらいました。(30代前半女性)
体験談12 頼めたほうの親に署名してもらった
■自分たちの親だったので、とくに何も伝え方を意識することはなく、「書いてください」と言ってお願いしました。(20代後半女性)
新郎の両親が証人
新郎両親が証人になる場合には「嫁にいく側だから」「新郎側両親が優先だから」という、結婚のマナー的な部分を意識してお願いする人も多いようです。
また、お願いする前にどちらかの両親が署名する気満々だった!というレアなケースも。
体験談13 嫁にいくので、新郎両親に
■嫁にいくということなので、旦那さんの実家のお父さんとお母さんにお願いをして承認になってもらいました。(30代前半女性)
体験談14 新郎新婦と新郎両親の心積もりが違っていた
■先にパートナーのご両親がふたりとも記入してしまったので、私の両親が記入する必要がなくなってしまったためです(笑)。どうしても自分の親に証人になってほしいととくに思ってなかったので、書き直しも希望しませんでした。(20代後半女性)
友人&友人が証人
成人なら誰でもOKというのが証人の条件ならば、大好きな友人に証人になってほしい!という人も多いはず。
ふたりの人生の節目となる大切な届け出にかかわることができる特別な機会。
お願いされた側もとってもうれしいですよね。
体験談15 それぞれがお互いの婚姻届の証人だから
■友人達とは20年来の付き合いで、それぞれがそれぞれの婚姻届の証人になっているので、そのようにしました。結婚式の日取りが決まったときに、いっしょに証人のお願いもしました。(30代後半女性)
体験談16 提出当日に証人を頼める人が友人だった
■婚姻届の書き方をしっかり読んでいなくて、証人が必要になるのは未成年だけだと勘違いしていて、届けを出そうと思っていた当日に気付き、慌てていたので。(30代前半女性)
体験談17 提出当日に友人が立ち会ってくれたので
■かねてから仲の良い友人に「○月○日に入籍するよ」と伝えたら、平日にもかかわらず休んで来てくれるというのでせっかく来てくれるなら証人をお願いしようということになりました。(30代前半女性)
体験談18 キューピッドである友人にお願い
■私は結婚するきっかけになったのは友達のおかげなので、友達にお願いしました。友達も喜んで書いてくれましたよ。(29歳女性)
友人&兄弟が証人
お互いに頼める人に頼んだから、友人&兄弟になったという人も。 急いでる場合にそれぞれ頼みやすい相手でもあります。
体験談19 頼みやすい人にお願いした
■私は姉が近くに住んでいたので、頼みやすいし、さっと書いてくれるのでお願いしました。旦那は家族は遠くに住んでいたので、なじみの友人にお願いしました。お願いするときは結婚をするってさらっと言ったように思います。(20代後半女性)
体験談20 お互い頼める人に頼んだ
■旦那さんが一番お世話になっていた方だったので、引越しと結婚の挨拶の際にお願いした。また、私は遠くに嫁いだのでちょうど遊びに来ていた妹にお願いした。普通に証人になってくださいと伝えた。(20代後半男性)
友人&親が証人
両親が遠方にいて郵送のやりとりが面倒な場合や、時間がない場合には、友人&親の組み合わせでもまったく問題ありません。
体験談21 両家の親のつもりだったが近くの友人に頼んだ
■自分の父は恥ずかしいと言って、代わりに母が証人になってくれました。パートナーの両親は遠地に住んでいたため、お願いすると手間だと思いふたりがお世話になっている友人にお願いしました。(20代後半女性)
兄弟姉妹が証人
兄弟姉妹が仲がいいという人は、証人をお願いしてみてはいかがでしょうか?
結婚式ではあまり出番がない兄弟姉妹だからこそ、いい想い出になりそうです。
体験談22 妹夫婦が新郎新婦の付き合いの証人だった
■自分達の付き合いをずっと見ていてくれたので妹達にお願いしました。既に自分達の分を記入した婚姻届を持参して「証人になってください」とお願いして書いてもらいました。(30代前半女性)
上司、恩師、仲人が証人
結婚に関してお世話になった人にいるなら、ぜひその人にお願いしましょう。
ただし、目上の人の場合にはいきなり署名をお願いするのではなく、お願いの挨拶&手土産を忘れずに!
体験談23 ふたりの元上司が出会いのきっかけだったから
■ふたりが出会うきっかけとなった方にお願いしたかった。そして、ご夫婦にお願いしたかった。おふたりのような幸せな夫婦になりたいので、お願いします!と伝えた。(30代後半女性)
体験談24 仲人夫妻が結婚の世話をしてくれたから
■私達の結婚のお世話をしていただいた仲人の方にぜひ証人になっていただきたかったから。また、尊敬できる素敵な夫妻だったため。(20代後半)
祖父母が証人
祖父母に可愛がってもらったという人は、お願いしてみるといいかもしれません! 嬉しそうな顔を見たら、こちらも嬉しくなりそうです♡
体験談25 本当の孫のようにかわいがってくれたので
■彼の祖父母が私を本当の孫のようにかわいがってくれていたのでぜひ証人になってほしかったのです。彼の両親でも構わなかったのですが彼と一緒に祖父母にお願いしました。(30代前半女性)
親戚が証人
お世話になった親戚がいるなら、ぜひその方にお願いしてみましょう!
両親は親戚にお礼を伝える機会もあるため、親戚にお願いした旨を伝えておくのも忘れずに。
体験談26 かわいがってもらった叔父さんに
■私はお世話になった叔父さんに、書いてもらいました。 ずっとかわいがってもらったので、報告もかねてお願いしました。(33歳女性)
体験談27 新郎が居候するくらいお世話になった親戚だから
■主人が小さいころからお世話になり、入籍前には居候をしていたりしていた親戚だったから。普通にお願いしますと伝えた。(30代前半女性)
その他の人が証人
その場にいる人にお願いした!という人もいます。
でも、顔見知り程度でいきなり「証人になって!」と言われるのは抵抗があるかもしれません。証人になってもらう人は事前にふたりで相談し、署名をもらう前にあらためてお願いしておくのがおすすめです。
また、その際には手土産を準備するなどマナーも忘れずに。
体験談28 新居の大家さんにその場でお願いした
■初めていく場所で、証人をお願いする人がおらず、時間もなかったので、お願いしました。ほかに、お願いできる方がいないので、お願いしますと言うと、快く引き受けていただきました。(20代後半女性)
婚姻届の証人を頼める人がいない場合は?
色々な体験談をご紹介しましたが、婚姻届の証人を頼める人が周りにいない!という場合もいますよね。
親しい間柄でなければいけないという決まりはないので、知人や同僚でも大丈夫です。
体験談にあったように、大家さんや、ご近所さんに頼めそうであればお願いしてみるのもいいですね。
また、行政書士事務所の証人代行や、各種婚姻届証人の代行サービスもあります。
料金は安いところでもひとり分3,000円、ふたり分で4,000円程度かかってしまいますが、誰にも頼めない!という人は検討してみるのはいかがでしょうか?
ふたりの新たな第一歩となる大切な時を、一番近くで見届けてくれる証人。
これからも末長くお付き合いができるよう、マナーを守ってダンドリよくすすめていってくださいね!
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※ 2023年1月 時点の情報を元に構成しています
「入籍・婚姻届」 の ハウツー・ノウハウ に含まれています