出産祝いをいただいたらまず、お返しとして贈る「内祝い」の品を決める前に、お礼状の文面を考えましょう。
しかし、特に初めての出産という方にとっては、いったいお礼状には何を書いたらよいのかわからないことがいっぱいのはず。
子どもの誕生を祝ってくださった親戚や友人へ送る、感謝の気持ちをこめた「お礼状」は、一体どのような内容を盛り込むとよいのでしょうか?
そこで今回は、出産祝いのお礼の文例集と基礎知識をご紹介します。
【目次】
- 1.お礼状の例文紹介
- 2.お礼状に必ず入れる項目
- 3.お礼状を出す時期
- 4.2人目以降が生まれたとき
1.お礼状の例文紹介
ある程度の定型文はあるものの、基本的には率直なお礼の気持ちを込めれば大丈夫。
以下の文例を、自分たちの場合に置き換えてアレンジしてみましょう。 堅苦しく考えずに、縦書き、横書き、自由に書いてかまいません。
【夫側から上司など改まった相手に送る場合】
拝啓 晩夏の候、皆様におかれましてはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
このたび、妻の出産に際しては、ご丁寧なお祝いをいただき、誠にありがとうございました。
○○様のあたたかなお気持ちが感じられ、大変嬉しく存じます。
お陰をもちまして、○月○日に誕生をいたしました長女は、産後の肥立ちもよく、母子ともに健やかに過ごしております。
ふたりの名前を1字ずつとって、〇〇と命名いたしました。
これからは、夫婦ふたりで力を合わせ、育児に努めてまいりますので、よろしくご指導くださいますようお願い申し上げます。
なお、ささやかではございますが、内祝いの品を別便にて送らせていただきました。ご笑納いただければ幸いに存じます。
末筆ながら、皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
まずは御礼のみにて、失礼させていただきます。 敬具
平成○○年○月○日
○○義之
みかこ
○○様
奥様
【妻側から上司など改まった相手に送る場合】
謹んで申し上げます。
秋暑の候、皆様お変わりなくお過ごしのこととお慶び申し上げます。
日ごろは色々とお世話になりありがとうございます。
この度はまた、長男○○の出産に際しまして、過分なるお祝いを賜り、心より御礼申し上げます。
おかげさまで母子ともに、健やかに過ごしておりますのでご安心ください。
体重は〇〇〇〇グラム、この重みこそ親となった責任なのだと身の引き締まる思いがいたします。
私も息子とともに成長していきたい所存でございますので、今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
なお、心ばかりの内祝いの品をお送りさせていただきましたので、ご笑納いただければ幸いでございます。
時節柄、くれぐれもご自愛くださいませ。
略儀ながら、書中にて失礼させていただきます。 かしこ
平成○○年○月○日
○○義之
みかこ
○○様
奥様
【夫側から友人など改まった相手に送る場合】
季節では夏の終わりと申しながら、まだまだ暑い日が続いております。皆様いかがお過ごしでしょうか。
このたびは、長男○○の出産にあたり、素敵なデザインのベビー服をいただき、ありがとうございます。
とてもかわいらしく、早速息子に着せてみました。
妻と、すごく似合っているね、と顔をほころばせております。
初めての子育てに戸惑うことが多いのですが、これからは家族3人で笑顔溢れる家庭を作っていけたらと思います。
これからも、子育ての先輩としても、今まで以上にアドバイスをいただけましたら嬉しく思います。
季節の変わり目でもございますので、どうぞお大事にお過ごしください。
まずはお礼申し上げます。 敬具
平成○○年○月○日
○○義之
みかこ
○○様
【妻側から友人など改まった相手に送る場合】
一筆申し上げます。残暑厳しいおりから、いかがお過ごしでしょうか。
先日は、長男○○の出産にあたり、心のこもったお手紙とお祝いの品をいただき、ありがとうございました。
丁度、ベビーカーの購入を考えていたところでしたので、本当に嬉しいお祝いでした。早速使わせていただいております。
おかげ様で、初めての子育てに戸惑いながらも、日々元気に成長する我が子の寝顔を見ては安らぎ、さっそく親バカぶりを発揮しております。
これからも、人生の先輩として、子育ての先輩としても、ご指導くださいますようお願い申し上げます。
お風邪など召されませんように、お気をつけくださいませ。
お近くにお越しの際には、息子の顔を見にぜひお立ち寄りくださいね。
まずはお礼まで。 かしこ
平成○○年○月○日
○○義之
みかこ
○○様
基本的な出産祝いのお礼状の流れは、
頭語
↓
時候の挨拶
↓
相手の健康・安否を気遣う言葉
↓
出産祝いのお礼・感想
↓
生まれた子の性別、名前、読み方
↓
今後のお付き合いや支援をお願いする言葉
となります。
送り主の名前(署名)は、 夫婦ふたりの連名 にしましょうね。
では、それぞれの項目の書き方の例を、詳しく見ていきましょう。
2.お礼状に必ず入れる項目
1)時候の挨拶
自分の言葉で春夏秋冬それぞれの季節の時候の挨拶を述べます。 「敬具」というのはフォーマルな文面の場合、あるいは男性が書くときに使います。
反対に「かしこ」は、女性が書くときにのみ使いましょう。その際、頭語(拝啓/謹啓など)を付ける場合は、文章系のもの(謹んで申し上げます/一筆申し上げます)を使うと、女性らしいやわらかい印象になります。
なお、「敬具」や「かしこ」などの結語は、カジュアルな文面の場合には省略してもかまいません。
【頭語-結語の組み合わせ】
拝啓-敬具
謹啓-敬具
一筆申し上げます。-かしこ(かしこを使えるのは女性のみ)
例) 拝啓 晩夏の候、
例) 風薫る季節となりました。
【時候の挨拶】
1月 新春の候/寒気厳しきおりでございますが
2月 立春の候/春まだ浅いこの頃ではございますが
3月 春分の候/寒さもようやく緩んできたようで
4月 桜花の候/春光うららかな季節を迎え
5月 残春の候/新緑の候/青葉繁れる好季節を迎え
6月 初夏の候/薄暑の候/梅雨空が恨めしいこの頃
7月 盛夏の候/大暑の候/いよいよ夏の到来を迎え
8月 残暑の候/寝苦しい夜がつづいておりますが
9月 初秋の候/空も秋色をおびてまいりましたが
10月 紅葉の候/野も山もすっかり色づき始め
11月 晩秋の候/菊の花の香り高い季節を迎え
12月 師走の候/今年も残りわずかとなりましたが
2)相手の健康・安否を気遣う言葉
よく使われる言い回しとして、 「◯◯様におかれましては…△△のこととお慶び申し上げます。」 というパターンがあります。
例) ○○様におかれましては、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
例) ご無沙汰いたしておりますが、お変わりなくお過ごしのことと存じます。
3)出産祝いのお礼・感想
お祝いへの「お礼状」なので、お祝いをいただいてうれしいという率直な気持ちを込めて書きましょう。
例) このたびはお心遣いありがとうございました。さっそく使わせて頂いております。
例) 本日は長男○○のために、かわいいお洋服をありがとうございました。とてもよく似合っており、本人も喜んでいるように思います。
4)生まれた子の性別、名前、読み方
自由に本文を書きますが、必ず赤ちゃんの名前と読み方を盛り込み、できるだけ具体的に近況などを述べます。
ただし、子どものいないご夫婦にあててお礼状を出す場合には、あまりはしゃぎすぎた内容にならないよう配慮するのがマナーですよ。
例) ○月○日に誕生した長男には、○○という願いを込めて、○○と命名いたしました。おかげさまで、母子ともに健やかに過ごしております。
例) 長女○○の出産にあたり、○○様のお人柄が感じられる、心のあたたかなお祝いの品をいただき、ありがとうございます。
5)今後のお付き合いや支援をお願いする言葉
お祝いをくださる方は、特に親しい関係である場合が多いもの。 これからも引き続き変わらないお付き合いをしていただけるよう、お願いする内容の文章をいれましょう。
例) 少し涼しくなりましたころ、息子を連れてご挨拶にうかがいます。これからもご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
3.お礼状を出す時期
お祝いをいただいたら、必ず「お礼の気持ち」を伝えましょう。 できれば、出産祝いをいただいて 3日以内 にお礼状を出せるとよいですね。
とはいえ、出産後は子どものお世話で忙しく、体力も落ちていることが多いもの。 お礼状のような普段書き慣れない文章を書くのは、なかなか負担になってしまうかもしれません。
もし、お礼状を送るのが遅くなりそうならば、まずは 電話 で直接、お祝いをくださった方へお礼の気持ちを伝えましょう。メールでは失礼にあたる場合もあるので出す相手によっては気をつけて。
お礼状をお送りするのとは別に、後日お祝いをくださった方全員に「出産内祝い」を贈りましょう。
【参考】
本来の「出産内祝い」とは、「出産祝いのお返し」という意味ではありません。 出産のお祝いをいただいたかどうかに関わらず、出産した側が誕生を喜び、お世話になった親しい人に贈るものでした。
子どもの名前を知らせる意味もこめ、役所への出生届けの期限である 生後2週間から生後約1ヶ月ごろ (お宮参りのころ)までが時期とされています。
とはいうものの、最近の「出産内祝い」は、いただいた「出産祝いのお返し」として贈る傾向になっています。 「お礼状」も「出産内祝い」を贈るタイミングと同時になってきているようです。
4.二人目以降が生まれたとき
子どもが誕生した喜びは、何人目であっても変わらないものです。 ひとり目の時と変わらず、お礼の気持ちを述べましょう。
なお、出産のたびにお祝いをくださる方には、「このたび も 」などと加えると、毎回配慮してくれることに対するお礼の気持ちを込めることができます。
本来の「出産内祝い」は、出産のお祝いをいただいたかどうかに関わらず、出産した側が誕生を喜んで、お世話になった親しい人に贈るものでした。
この、「出産内祝い」のもともとの意味からすると、お祝いを頂いたのでお返しを贈りますね、といった意味合いの表現は失礼にあたるので使わないように。
お礼状をお贈りする相手への 感謝の気持ちと配慮 を忘れずに、心のこもった文面を書けるように心がけましょう。
※ 2021年1月 時点の情報を元に構成しています
「生活・家事・ライフスタイル」 の ハウツー・ノウハウ に含まれています