結婚式で乾杯の挨拶を頼まれたら、どんなことを話せばいいのか悩みがちですよね。
スマートなスピーチで新郎新婦を祝福できるよう、乾杯の挨拶のマナーと基本構成、当日の流れを徹底解説します。
上司や友人、父親などの関係性別や「親族のみの結婚式の場合」「面白い結婚の挨拶」など、そのまま使えるシチュエーション別の挨拶文例も参考にしてください。
結婚披露宴の乾杯の挨拶とは?
乾杯の挨拶とは、乾杯の音頭を取るために添える短い挨拶のこと。ふたりとの関係性やちょっとしたエピソードを入れつつ、ふたりへのはなむけの言葉を述べるのが一般的です。
披露宴で新郎新婦が入場後、主賓からの祝辞の前後に行われます。
乾杯の挨拶をするのは誰?
主賓の祝辞ではゲストの中でもっとも格が高い、職場の社長や上司、恩師にお願いする人が多いため、乾杯の挨拶はその次に偉い人へお願いするのがマナー。
主賓に続く立場の上司や先輩、カジュアルな結婚式であればふたりの共通の知り合いや盛り上げ上手な友人に。親族のみの結婚式なら父親にお願いしたり、ふたりが主催となって両親をおもてなしするという立場であれば新郎が行うこともあります。
乾杯の挨拶の基本構成
まずは乾杯の挨拶の基本構成をみていきましょう。構成はシンプルで、以下の4つの要素を入れていけば上手な乾杯の挨拶が完成します。
- ①自己紹介
- ②お祝いの言葉
- ③エピソードとはなむけの言葉
- ④乾杯の発声
①自己紹介
名前と関係性を簡潔に述べ、乾杯の音頭を取ることに対して周囲に断りをいれます。
文例
「ただいまご紹介にあずかりました、新郎の勤務先の上司にあたります◯◯と申します。大変僭越ではございますが、乾杯の音頭を取らせていただきます」
②お祝いの言葉
ふたりと両家の親族へのお祝いの言葉を述べます。
文例
「(新郎の名前)さん、(新婦の名前)さん、ご結婚おめでとうございます。並びにご両家のご親族の皆様におかれましても、心よりお祝いを申し上げます」
③エピソードとはなむけの言葉
新郎または新婦の人柄が伝わるエピソードを挟みながら、ふたりへのはなむけの言葉を贈ります。
文例
「(新郎の名前)さんとは新入社員として私の部署に配属された時からの付き合いですが、その実直な仕事ぶりは社内でも評判で、持ち前のセンスと明るさでムードメーカーとして周囲を盛り上げてくれる、部署になくてはならない存在でもあります。
そんな彼が(新婦の名前)さんという素晴らしい伴侶を得たことは大変喜ばしく、今後の活躍がますます楽しみでもあります」
④乾杯の発声
最後はゲストに乾杯を促す挨拶を添えつつ、タイミングを見ながら乾杯の発声を行いましょう。
文例
「それでは、おふたりの末永い幸せを願って乾杯のご唱和をお願いします。乾杯!」
ここで失敗しがち…乾杯の挨拶の注意点!
乾杯の挨拶の構成がわかったら、失敗しやすいポイントをふまえながらスピーチの際の注意点をみていきましょう。
挨拶の時間は2分以内がベスト
乾杯の挨拶ではグラスを持ったゲストが乾杯の発声を待っている状況です。そのため長々と話さず、簡潔で短い挨拶を心がけると好印象◎
時間の目安は1~2分ほど、文字数なら800字以内にまとめましょう。
話して欲しくないことを確認しておく
ほめるつもりの内容でも、仕事やプライベート、過去の話を大勢の前で話して欲しくないという人もいます。新郎新婦に事前に触れて欲しくない内容を確認したり、挨拶の内容が決まってからチェックしてもらうと安心です。
下ネタや内輪ネタ、暴露話は、不快に思うゲストが多いため、ふたりからの許可の有無に関係なく絶対にNGです。
披露宴の雰囲気に合わせた言葉遣いを
格式が高い結婚式ではより丁寧な言葉遣いが、友人中心のカジュアルな式では堅苦しくなりすぎない言葉遣いが求められます。披露宴の雰囲気を事前に聞いておくことで、その場にふさわしい挨拶ができそう。
名前の間違いに注意!
緊張すると間違えがちなのが新郎新婦の名前。名前の一文字を間違えたことに気づかず、後々指摘されたなんてことも…。お祝い事に水を差すことになってしまうので、うっかり間違えないように意識しておきましょう。
古い価値観の言葉など不適切な内容がないか注意
乾杯の挨拶は短いものですが、スピーチ内容でゲストや新郎新婦を不快にさせることがないかはしっかり確認を。
たとえば、男は仕事・女は家庭、夫が稼いで妻を養うもの、家事や育児は妻の仕事…など、性別による役割分担意識から出る言葉ではないか、新郎新婦の外見について不適切に言及していないか…など、誰かを不快にさせてしまう可能性がある内容は避けましょう。
忌み言葉は使わないように意識する
別れや不幸を連想させる「忌み言葉(いみことば)」は、最近はそこまで気にしない人も多いですが、ゲストの立場では避けることがマナー。より丁寧でポジティブな印象になるように心がけましょう。下記記事の言い換え例もぜひ参考にしてくださいね。
▼結婚式での忌み言葉って?上手な言い換え例はこちら
乾杯の挨拶の流れとお辞儀のタイミング
乾杯の挨拶のマナーがわかったところで、どのタイミングで移動し、お辞儀をするのかなど、具体的な流れをおさらいしてみましょう。
1.司会者の紹介でマイクの前へ
司会者より紹介を受けたら、グラスを持ってその場で立ち上がり同じテーブルのゲストに一礼します。マイクの前まで進み、マイクの前に立ったら新郎新婦に一礼、会場のゲストに向けて一礼します。
2.スピーチをする
グラスを胸下に持った状態でスピーチをします。
3.ゲストに乾杯の準備を促す
スピーチが終わったら「ご唱和ください」と合図をしグラスを目の高さまで上げます。ゲスト全員が起立し、グラスを上げるのを確認します。
4.乾杯の発声
ゲストがタイミングをつかみやすいよう、ひと呼吸おくか「それでは」などの言葉を挟んで「乾杯!」の発声を。
新郎新婦、ゲストの順に視線を合わせてからグラスに口を付けましょう。
5.席に戻る
新郎新婦に一礼、ゲストに一礼して自分の席に戻ります。テーブルに戻ったら、着席前に同じテーブルのゲストに一礼するとより丁寧な印象になります。
上手な乾杯の挨拶のポイントは?
マイクの前に立つと視線をどこへ向けるべきか悩みますが、顔を上げ、ゲスト全員に目を配るようにします。緊張すると早口になりがちなので、ゆっくりと、後ろの席にも届くように大きな声を心がけましょう。
乾杯の挨拶でカンペを見てもいい?
カンペを用意することに問題はありませんが、グラス片手にしゃべる乾杯の挨拶ではカンペを持つのも難しいところ。覚えるのが難しい場合や緊張でしゃべれなくなるのが心配であれば、短い挨拶で済ますのも手です。
【関係性・シチュエーション別】結婚の挨拶文例
最後は上司や友人などの関係性別、短めの挨拶や面白い挨拶などのシチュエーション別の乾杯の挨拶文例を紹介します。
上司の乾杯の挨拶文例
職場での仕事ぶりをほめるエピソードを盛り込むケースが一般的です。今後の期待を込めた温かいはなむけの言葉を。
(新郎の名前)さん、(新婦の名前)さん、ご両家ならびにご親族の皆さま、本日は誠におめでとうございます。
また、このような盛大な披露宴にお招きいただきまして、心よりお礼申し上げます。新郎の〇〇さんは何事にも実直に取り組む性格で周囲への気配りも上手く、職場はもちろん取引先でも厚い信頼を得ています。何事にも一生懸命で誠実な彼は、家庭においても良き夫となると確信しています。
(新郎の名前)さん、(新婦の名前)さん、これからはふたりで支え合って、幸せな家庭を築いていってください。それでは皆さま、ご唱和をお願いいたします。
おふたりの前途と、ご両家のますますの繁栄をお祈りしまして、乾杯!
恩師の乾杯の挨拶文例
恩師の立場から見た新郎新婦の良さを具体的なエピソードとともに。上から目線にならず、愛情で包み込むようなスピーチを。
私は新婦の(名前)さんが通っていた高校で担任をしておりました〇〇と申します。 彼女とはクラス担任や部活の担任として3年間一緒に過ごしてきました。とてもしっかり者で思いやりが深い彼女は、クラスみんなに慕われていました。スポーツも万能で、3年生の体育祭では彼女を中心に一致団結し、クラスが準優勝を果たしたことは私にとっても自慢の思い出です。
どんな場所でも真っ直ぐに頑張る、そんな彼女の築く家庭はきっとすてきなものに違いありません。(新郎の名前)さん、たまに頑張りすぎてしまう彼女を、その大きな腕で支えてあげてください。
ふたりで助け合いながら、あたたかい家庭を築いてくださいね。それでは恐れ入りますが、皆さまご起立の上、ご唱和をお願いいたします。 ご結婚おめでとうございます。乾杯!
友人の乾杯の挨拶文例
ゲストの顔ぶれにもよりますが、友人の立場で乾杯の挨拶をすることへの断りをひと言添えるケースが多いです。友人だからこそのリアルなエピソードが期待されます。
多くの諸先輩方がいらっしゃる中でご指名いただき、誠に僭越ではございますが乾杯の音頭を取らせていただきたいと思います。
新郎の(名前)さんとは小学生からの仲で、家が近所だったことや共通の趣味があったことから、たくさんの時間を共に過ごしてきました。みなさんがご存じの通り、人前であまり多くを語らず、いまいち感情が掴めないポーカーフェイスの彼ですが、新婦の(新婦の名前)さんの話になるとこちらが照れてしまいそうになるくらい、本当に幸せそうな表情をします。
最高の伴侶と出会えた彼を羨ましくも思いますが、それ以上に嬉しい気持ちでいっぱいです。(新郎の名前)さん、(新婦の名前)さん、これからは夫婦ふたりで幸せな時間を重ねていってください。
それでは皆さま、おふたりの新しい門出を祝し、乾杯のご唱和をお願いします。乾杯!
父親の乾杯の挨拶文例
親の立場から、参列ゲストへの感謝と今後ともよろしくという気持ちを伝えるスピーチが多いようです。
本日はお忙しい中、息子夫婦のためにお集りいただきまして誠にありがとうございます。 みなさまからたくさんのお祝いのお言葉を頂戴し、親としてこれほど嬉しいことはございません。
(新婦の名前)さんという人生の伴侶と出会い、ハレの日を迎えることとなりましたが、まだまだ未熟な夫婦でございます。新たな一歩を踏み出したふたりを、みなさまどうか温かい目で見守っていただけたら幸いです。私も微力ながらも寄り添い、力になりたいと思っております。
それでは新郎新婦の未来と、ご両家ならびにご列席の皆様のご多幸を祈念いたしまして、乾杯したいと思います。 乾杯!
親族のみの結婚式での新郎の乾杯挨拶文例
ややカジュアルでも許されますが、親族へのこれまでの感謝の気持ち、参列へのお礼、今後よりよいお付き合いができるようにお願いをしっかり伝えるのがポイントです。
本日はご多用のところ、私たちの夫婦のためにお集まりいただきありがとうございます。
先ほどはふたりが一目ぼれしたチャペルにて、皆さまに見守られながら挙式を執り行うことができホッとしています。ご参列いただきありがとうございました。日頃より私たちを支えてくださっている大好きな皆さまへ、感謝の気持ちをお伝えできたらと思い、ささやかですがこのような席を設けさせていただきました。
お食事の合間には特別な演出も用意しておりますので、お楽しみいただけると幸いです。恐縮ではありますが、私のほうで乾杯の音頭を取らせていただきます。乾杯!
スマートに済ませる「短い」乾杯の挨拶文例
ゲストがグラスを持って聞く乾杯の挨拶は、短くコンパクトが喜ばれます。伝えるべきポイントを押さえ、しっかり聞き取りやすい声で端的に述べるスピーチは好印象です。
ただ今ご紹介にあずかりました、新郎と同じ会社に勤めております◯◯でございます。
(新郎の名前)さん、(新婦の名前)さん、ならびにご両家のご親族の皆さま、本日は誠におめでとうございます。それでは、乾杯の音頭を取らせていただきます。ご唱和ください。
新郎新婦の末長いお幸せとご両家ならびにご列席の皆さまのご多幸とご発展をお祈りいたしまして、乾杯!
ユーモアたっぷり「面白い」乾杯の挨拶文例
思わずくすりと笑えるエピソードを交えると、乾杯が笑顔に包まれた和やかなものに! ただし語りたいことがたくさんあっても、長くだらだら離さないことが大切です。
ただいまご紹介にあずかりました、新郎の勤務先の上司にあたります◯◯と申します。大変僭越ではございますが、乾杯の音頭を取らせていただきます。
(新郎の名前)さん、(新婦の名前)さん、ご結婚おめでとうございます。並びにご両家のご親族の皆さまにおかれましても、心よりお祝いを申し上げます。
〇〇くんとは仕事で長い付き合いですが、プライベートは謎に包まれており、仕事一筋でクールでかっこいいなどと後輩に慕われていました。しかし結婚報告に来た彼はいつものクールさはどこへやら、そのデレデレっぷりに正直驚きましたが、本日〇〇さんを拝見して納得しました。毎日こんなにすてきな奥様が迎えてくれているのなら、仕方のないことですね。
ぜひ「クールでかっこいい先輩」のポジションは私に譲っていただいて、職場でも幸せいっぱいの笑顔を振り撒いてください。
それでは皆さま、ご唱和ください。乾杯!
一目置かれる名言を使った「かっこいい」文例
乾杯の挨拶は短いスピーチのため、定型文になりがちですが、こんなかっこいいスピーチをすると、ゲストや新郎新婦の印象に残るかも!
これから夫婦として新たな道を歩んでいくふたりに、私が好きな言葉を贈りたいと思います。
「愛する─それは互いに見つめあうことではなく、一緒に同じ方向を見つめることである」。あの有名な「星の王子さま」の作者による名言です。
恋に落ち、情熱のまま目の前の相手を見つめるのは簡単ですが、ふたりで同じ未来を見つめていくことは、お互いへの思いやりや、信頼なくしては成しえません。
(新郎の名前)さん、(新婦の名前)さん、この先長い道のりにはさまざまな困難もあるかと思いますが、ふたりで同じ未来を見つめ、共に歩みがら愛を育んでいってください。
つたない挨拶ではございましたが、おふたりへのはなむけの言葉とさせていただきます。 (新郎の名前)さん、(新婦の名前)さん、本日は誠におめでとうございます。
それでは皆さま、ご唱和をお願いいたします。乾杯!
***
これで乾杯前のスピーチは完璧!慣れないと緊張するものですが、新郎新婦やゲストの心をあたためる心からのお祝いの言葉で、乾杯シーンを盛り上げてくださいね。
▼友人代表スピーチを頼まれた!困ったときにチェック♪
※ 2023年6月 時点の情報を元に構成しています
「ゲスト」 の ハウツー・ノウハウ に含まれています