最近はウェディングドレスだけでなく、和婚ブームに乗って和装が人気です。
着物は白無垢のほか色打掛や引き振袖からも選べて、色や柄もバラエティに富んでいます。
レンタルする際の着物の選び方や髪型のポイントにはどのような点があるでしょうか。
そこで今回は和婚の定番衣裳!色打掛&引き振袖のそれぞれの比較&選び方講義をご紹介しましょう。
【目次】
- 1.和装の着比べによる比較
- 2.和装の選び方
- 3.まとめ
1.和装の着比べによる比較
最近の「和婚」ブームで、婚礼衣裳に着物を選ぶ花嫁が増えてきました。
結婚式の着物としては、ウェディングドレスが「白」であることもあり、白無垢が一番イメージされるのではないでしょうか?
実は神前式や仏前式などの結婚式における和婚の「正礼装」には、白無垢だけでなく、色打掛や引き振袖も選べるのです。
色鮮やかな色打掛や引き振袖の婚礼衣裳に身をつつんだ花嫁姿は、とても絵になります。
一方、普段着慣れない着物であるがゆえに選び方がよくわからない…と感じる花嫁は少なくないようです。
色打掛とは?
特徴:豪華で重厚感がある
デメリット:着ていて重たい/動きにくい
打掛は、江戸時代、帯を締めた小袖の上にさらに大きめの小袖を羽織った(打ち掛けた)武家の女性の着物です。
白無垢の打掛以外を色打掛と呼び、明治以降から今日まで一般の花嫁衣裳として着られるようになりました。
なお、色打掛につける小物のなかに「懐剣」がありますが、これはその当時、武家の女性が護身用に身につけていた短刀「懐剣」のなごりです。
色打掛の特徴は豪華で重量感があることです。 その生地には華やかな装飾が施されていますが、3種類にわかれています。
刺繍物:生地に模様が刺繍されている
織物:生地を模様が織り込まれている
友禅物:生地に模様が直接描かれている
刺繍物は職人の技が凝縮された高級品ですし、織物は重厚感があります。 友禅物は華やかなうえ、刺繍物や織物と比べて少し軽めです。
とはいえ色打掛は「掛布団をはおっているよう」と称されることもあるほど、動きにくい着物ではあることは確かです。
さらにカツラを合わせると、頭までずっしりと重く、長時間の着用はキツいと感じる花嫁もいるでしょう。
結婚式から披露宴の格式や、全体の時間との兼ね合いも考慮しつつ、色打掛を選んでみてくださいね。
引き振袖とは?
特徴:身軽な身のこなしが可能/豪華な帯
デメリット:和装の招待ゲストと変わらない印象
引き振袖とは通常の着物のおはしょり部分をあまりとらずに裾を引いた振袖のことをいいます。
引き振袖のなかでも黒地の引き振袖は「黒引き」と呼ばれ、江戸後期から昭和初期まで一般的な花嫁衣裳として広く着られていました。
格としては色打掛よりも下にはなりますが、色打掛とくらべ、身のこなしをスムーズに行うことができるところがメリットでしょう。
引き振袖の「見せポイント」は豪華な帯です。 帯の柄や帯の結び方によって、お祝いにふさわしく豪華に見せることができます。
一方、引き振袖は色打掛と比べて、重厚感やきらびやかさという点ではどうしても物足りなさが残りますし、振袖姿の招待ゲストと変わらない印象になりがちです。
また、カツラ姿は、引き振袖に重厚感が少ない分、頭が大きく目立つかもしれません。
引き振袖には地髪を結いあげる、洋髪にアレンジするなど、髪型を工夫し、会場の大きさや全体の囲気を考慮しつつ選んでみましょう。
2.和装の選び方
和装は着物の種類、柄、色など、一定のルールによって組み合わせが決まります。
普段の生活で着物を着つけていないと難しい感じを受けますが、パターンさえ押さえておけば、意外と自由に選べます。
吉祥文様を選ぶ
婚礼衣裳はお祝いの場にふさわしい吉祥文様で彩られています。
吉祥文様とは「おめでたい」とされる文様で、色打掛や引き振袖に必ず1つは入っています。
植物:松・竹・梅・蘭など
動物:鶴・亀・鳳凰など
縁起物:七宝・宝船・御所車など
これほかにも季節を彩る柄が入っていることがあり、結婚式の季節に合わせて選ぶと素敵です。
ただし、季節の柄の入った着物は必ず該当の季節に合わせることがルール。
衣装担当スタッフに尋ねれば、選ぶべき柄についてのアドバイスをもらえますが、迷う場合には、季節を問わない吉祥文様で構成されている着物を選ぶと無難です。
【選ぶべき柄の大きさ】
色打掛も引き振袖も「柄」がポイントです。 花嫁の雰囲気や体型にフィットした柄を選びましょう。
背が高い・大柄な花嫁は…大きめの柄
背が低い・小柄な花嫁は…小さめの柄
を選ぶとおさまりがよいようです。
【着物の「見せポイント」】
色打掛と引き振袖の形の違いによって、「見せポイント」が異なっています。
全身の立ち姿や歩き姿で目立つところは、
色打掛:背中の帯にあたる部分
引き振袖:袖の外側部分
です。
この部分の柄や色をしっかりチェックして着物を選びましょう。
色打掛・引き振袖の色
和婚におけるテーマカラーは「白・赤・黒」3原色が基本とされています。
白は白無垢
黒は黒引き
赤は色打掛
となり、特に「赤=朱色」は魔力に強くけがれを祓う日本の伝統の色。
豪華で華やかな色打掛にふさわしい色です。
このほか、婚礼衣装として「高貴な色の紫」「調和を示す緑」「やわらかなピンク」もよく選ばれています。
床の色、壁の色、テーブルクロスなどの会場装飾全体を考慮に入れつつトータルコーディネートをすると、さらに婚礼衣装の花嫁姿の美しさが際立ちます。
洋髪アレンジもOK
和装にあわせる髪型の定番としては文金高島田でしたが、最近の和婚ブームでは洋髪に合わせる花嫁が増えてきています。
結婚式の格式ということであれば文金高島田になるのですが、カツラは「重い・キツい」と敬遠されがち。
また必ずしもその花嫁にカツラ姿が似合うとは限らないことが難点でした。
けれども、洋髪であれば自分に似合う髪型にアレンジすることができて個性的です。
カツラを理由に和装をあきらめることなく、ぜひ洋髪でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
なお、和装の花嫁衣裳はとても重厚感があるため、洋髪の際は着物とのバランスに気をつけるようにしましょう。
より美しく和装を着る工夫
着物を美しく着こなすには、花嫁の美しい姿勢が大切。 しかし、それ以前に美しく着付けてもらうことがポイントです。
実は、現在着物の着付けができる衣装室スタッフは少なめ。
万が一慣れないスタッフでは、着付けに時間がかかるうえ、帯の締めの調整がうまくいかず、花嫁が苦しくなったり、反対に着崩れしたりしてしまう可能性があります。
結婚式に和装の婚礼衣装を選ぶ場合には、着付けスタッフについてプランナーに確認しておくと安心かもしれません。
3.まとめ
最近の「和婚」ブームは、従来のパターンにとらわれないことがポイントです。
色打掛や引き振袖では豊富な色・柄から選ぶことができ、髪型のアレンジの幅も広がっています。
たとえば、挙式の際にかぶる綿帽子は白無垢のみにあわせる最上格のものとされ、色打掛の場合は角隠しのみが許されてきましたが、最近では色打掛用の綿帽子もあります。
いまどきの和装は自分らしいコーディネートができることは魅力ですね。
一方、格式やマナーを重んじる「家」や、年長者からは「やはり白無垢+文金高島田でないと」と思われるかもしれません。
ぜひとも、招待ゲストの構成なども考慮に入れたうえ、一生に一度の美しい花嫁姿をめざして楽しく着物を選んでみてくださいね。
※ 2016年8月 時点の情報を元に構成しています
「和装」 の キホン に含まれています