新婚カップルにとって結婚準備のひとつ、新居選びは意外と大仕事です。
ふたりに必要な広さと間取りを検討し、生活設計をした上で家賃を想定し、住みたい地域の相場から初期費用を見積もらないといけません。
結婚費用の大きな部分をしめる住居費ですから、慎重に決めたいですよね。
そこで今回は、新居選びや引越しを成功させるコツについてご紹介します。
【目次】
- 1.賃貸?購入?新居の形態
- 2.賃貸の場合、家賃の目安は?
- 3.部屋の広さや間取りの決め方
- 4.新居選びのポイント
- 5.引越しに必要な手続き
1. 賃貸?購入?新居の形態
新婚カップルが選んだ新居の形態について、「みんなのウェディング」にてアンケート調査を行なったところ、次のような結果となりました。
<先輩花嫁たちが選んだ新居の形態ランキング>
第1位 賃貸住宅(アパート・マンション)77%
第2位 持ち家(マンション) 10%
第3位 持ち家(一戸建て)8%
第4位 賃貸住宅(一戸建て)2%
それぞれの新居の種類について、メリットとデメリットをみていきましょう。
第1位 賃貸住宅(アパート・マンション)
メリット:臨機応変に引越しが可能
ライフスタイルが確定していない新婚当初の段階では、最初の住居を「終の棲家」とまで決意していることは少ないかもしれません。
入居・退去の手続きが比較的簡単に行える賃貸は、ライフスタイルの変化に応じて引越しが可能な住居形態です。 万が一、近隣トラブルに巻き込まれた場合でも、すぐに引越しを決断することが可能です。
新婚生活をスタートさせるにあたり賃貸を選んだカップルが8割近くにのぼることは、納得できる結果ではないでしょうか。
デメリット:賃貸ならではの制約
一方、賃貸住宅は「自分たちのもの」ではないために、様々な制約があります。
素敵な絵を壁にかけたい!と思っても釘一本打つことができないなど、傷をつけないように、汚さないように、と気を遣いながら生活する面倒を感じることもあるでしょう。
また、賃貸集合住宅はたとえ気に入ったとしても永遠に更新し続けられるというものでもなく、ある時点で引越しを余儀なくされる場合もあります。
必ずしも自分たちのペースでは過ごせないことが賃貸集合住宅のデメリットといえるでしょう。
第2位 持家(マンション)
メリット:「我が家」として、落ち着いた生活に
1割のカップルは購入したマンションを新居としています。 結婚を期に購入する場合や、どちらかの独身時代に既に購入済みの場合があるでしょう。
部屋のアレンジは自由ですし、「いざ!」というときの将来の大事な資産となります。 多くの場合、マンションには管理業者がいますので、メンテナンスを自分たちでやる必要がありません。
転勤になった場合にも賃貸として貸し出すことが可能になるでしょう。
デメリット:トラブルが発生しても、すぐには引越しができない
賃貸住宅の場合、「引っ越したい!」と決意さえすれば引っ越すことが可能である一方、特に持ち家でローンを組んでいる場合は、臨機応変な対応ができません。
特に、ローンの返済が厳しくなったからといって、売却や買い換えなどは自分たちの思うタイミングでは進まないものです。
また、一戸建てに比べて近隣住民との距離が近いので、ご近所付き合いに気疲れしてしまう場合も。
新婚当初は予想できなかった家族構成の変化や仕事の状況などによっては、負担となる可能性があることも念頭にいれておきましょう。
第3位 持家(一戸建て)
メリット:土地と建物で安定した資産に
1割弱のカップルは一戸建てを購入していました。 都心部ではなかなか難しいことですが、土地を所有しておけば建て替えることも可能になり、長期にわたっての資産形成をすることができます。
郊外ならば、ガーデニングも可能になるかもしれません。 また、腰をすえて将来への見通しをたてることができるのがメリットと言えるでしょう。
デメリット:メンテナンスに費用がかかる
持ち家のメリットは自分たちの自由になることですが、それだけメンテナンスをこまめにして管理を徹底しないといけません。
賃貸住宅の設備は大家さんや不動産会社が修繕してくれる場合が多い反面、持ち家となればすべて自分持ち。
特に一戸建ては修繕費を積み立てるマンションと違い、一度に出費する金額が大きくなります。 新婚当初は想定していなかったのに!ということのないように準備しておきましょう。
また、メンテナンスということでは、自宅周辺の整理整頓は必須です。 自宅の庭の落葉が隣家の庭に落ちた!などはトラブルになりがちです。
近所付き合いへの配慮も含め、社会マナーを心がけましょう。
第4位 賃貸住宅(一戸建て)
メリット:開放的な空間が手に入る!
都心部ではなかなか一戸建てを賃貸することは難しいものですが、新婚当初からそれが可能であれば、開放感のある生活を送ることができるかもしれません。
さらに、運がよければ駐車場付きの場合もあります。 賃貸でありながらガーデニングを楽しめたり、ゆとりのある生活を送ることができますね。
デメリット:管理が大変
一戸建ての賃貸の場合は、賃貸のメリットである「メンテナンス」を自分でやらなければいけません。 また、一戸建てはマンションよりも光熱費がかかるといわれています。
特に冬、築年数が経っている賃貸一戸建て住宅は窓が多いため「すきま風」が入ってくることで、熱効率が下がります。
光熱費がかかってしまって「びっくり!」することがあるようです。
窓が多いということは防犯面でも注意が必要なので、夫婦でよく話し合って対策を考えておきましょう。
2.賃貸の場合、家賃の目安は?
さて、どんなに素敵な部屋が見つかったとしても収入に対して適切な割合の家賃でなければ、生活が成り立たなくなりますよね。
「みんなのウェディング」にて、収入に対する家賃の割合についてアンケートを行なったところ、次のような結果となりました。
<収入に対する家賃の割合ランキング>
第1位 16~20% 25%
第2位 21~25% 21%
第3位 26~30% 18%
第4位 11~15% 16%
第5位 10%以下 6%
第6位 31~35% 4%
第7位 36~40% 1%
家賃は一般的に手取りの1/3もしくは1/4以下が適切な割合である、といわれていますが、それぞれのライフスタイルによるところが大きく、一概にはいえません。
1/3を超えても大丈夫なカップルのタイプ
共働きで子どもをつくる予定がない
共働きの場合は、合算収入で考えると家賃の割合が大きくても貯金をきちんとできる可能性が高くなります。
余裕があるならば、自分達の心地よい住まいを選びたいと考えることでしょう。 ただし、最初に選んだ環境は後々までの選択基準になってしまうため、いざ生活環境に変化が生じた場合に住居費を押さえてランクダウンすることが難しくなるものです。
「もっとオシャレな場所に」、「もっと広い部屋を」などと希望は際限なく広がってしまうので、「子どもができるまで」、「何年間だけ」などと期間を決めておくことも大切かもしれません。
交際費が少なく、家で過ごす時間を重視したい
食費や光熱費などを省けば健康に支障が出ることもありますが、交際費はおさえることができます。
例えば飲み会にあまり行かないカップルの場合、普通よりも交際費は少なめなはず。外に出かけるよりも家で過ごしたい!というふたりには、「くつろげる我が家」がまず一番。
使わない交際費分を家賃に上乗せして、ワンランク上の部屋を借りることができますね。
1/3や1/4が望ましいカップルのタイプ
すぐにでも子どもがほしい
結婚したらすぐに子どもを!と考えるならば、今後かかってくる教育費にそなえて、できる限り家賃をおさえて考えるようにしましょう。
また、子どもがいる部屋ではインテリアに凝ったり、きれいにデコレーションすることは難しいものです。
オシャレな部屋よりも、お手頃価格の家族向けの部屋を選ぶようにしましょう。
収入源がどちらか一方だけ
ひとりだけの収入であるならば、稼ぎのある方に不測の事態があったときのことを考え、できる限り支出をおさえた家計でやりくりしたいですよね。
ぜいたくはできないかもしれませんが、きちんと家計管理ができれば、将来への計画も立てやすいでしょう。
もう一方がパートやアルバイトをすることができたとしても、決して家賃に加えることのないよう貯金にまわすなど心がけることをお勧めします。
趣味や交際費などの支出が多い
これを止めたら自分たちらしくなくなる!というくらい、趣味や交際を大切にするカップルもいます。
初めから出費が多いライフスタイルが見込まれる場合は、とにかく家賃はおさえておきましょう。
3.部屋の広さや間取りの決め方
必要な部屋の広さや間取りは、そのカップルがどういう過し方をするのか、どういうライフスタイルであるのかによってかなり違ってくるものです。
一般的には以下のポイントに絞って考えてみるとよさそうです。
・生活時間にズレはあるかないか
・荷物は多いか少ないか
・転勤・転居は予定されているか
・出産は予定されているか
生活時間にズレがある
二部屋以上ある物件がオススメ
どちらかの職場がシフト制や夜勤であれば、勤務時間が不規則になります。 同じ部屋で寝起きすると、お互いに十分な睡眠がとれないかもしれません。
また、それぞれが大切にしている趣味がある場合は、ひとりの時間を持ちたいでしょう。 そのようなスペースを確保するために、二部屋以上ある間取りをお勧めします。
荷物が多い
収納が豊富な物件がオススメ
持ち物が多いと、どうしても片付けにくくなります。 乱雑な部屋ではくつろぐことができません。
広ければ広いで散らかしがちになるので、「物をしまう部屋」を確保できる部屋数の物件か、収納が充実している物件を探しましょう。
転勤・転居が予定されている
礼金・更新料がない物件やフリーレントがオススメ
勤務先が転勤必須であったり、数年後は別の場所に引っ越すことが決まっている場合は、初期費用を抑えられる物件を探しましょう。
地域によって賃貸の料金制度が異なるようですが、礼金や更新料の設定がなかったり、当初の家賃を無料とするフリーレントのシステムもあります。
引越し費用もかさむことですから、無駄を省いて上手に借りられるとよいですね。
出産が予定されている
ファミリー向け物件がオススメ
物件によっては「子ども禁止」という制約があるものもあります。 子どもを考えているならば、「子どもOK」という物件にこだわって探しましょう。
また、間取りも大切ですが、将来子どもを育てるにあたって、近隣の環境や部屋の騒音・防音についてもチェックしましょう。
4.新居選びのポイント
新居を選ぶにあたって、気を付けるポイントはどういうところになるのでしょうか? 先輩カップルからコツを伝授してもらいましょう。
お互いの優先順位を明確に
一般的な意見を参考にすることも大切ですが、「自分たち」は何が重要なのか考えていきましょう。
違う環境で育ってきたふたりが一緒に生活をするのですから、こだわる条件が違って当たり前です。 ふたりの条件により多く当てはまる物件探しをするとよいかもしれませんね。
体験談
将来の家族の人数を考慮して
■将来的に家族の構成人数を考慮し、駅に近い方がいいのか、部屋が広い方がいいのか、優先順位を決めてから探した方がいいと思います。(30代前半女性)体験談
すべてを兼ね備えた物件はない!
■色々希望はあると思いますがすべてを兼ね備えた物件はないと思うので、優先順位をきちんと決めて、どこまでは諦められるかを考えて探したらよいかと思います。(30代後半女性)
必要な部屋の広さを確認する
ふたりの生活リズムや荷物の量などについて話し合い、必要最低限の間取りや広さを絞り出しましょう。
体験談
ふたりの生活リズムに合う物件を探す!
■ふたりの生活リズムに合わせた良い物件が見つかるまで冷静にゆっくり考えてほしい。(20代後半女性)体験談
散らかる部屋はもめる原因になりやすい!
■狭すぎる家・収納の少ない家は、必然的に散らかります。散らかっているとイライラする頻度も高くなり、家事をネタにけんかになることも増えます。
花嫁のほうが衣類が多い傾向にあるので、しまい場所でもめないよう、たっぷり収納のある部屋がいいと思います。(20代後半女性)
通勤時間を短く、生活時間を長く
共働きであれば、ふたりで家事分担をしていく必要があるでしょう。 通勤時間が長ければそれだけ家事に割く時間も減るうえに、疲れる時間が増えてしまいます。 「共同生活」は効率が大切です。
体験談
通勤時間は絶対に短く!
■通勤時間は短いほうが絶対良いです。一日たかが30分でも1週間になれば30×5で150分で2時間30です。
2時間半あれば掃除・洗濯ができちゃいますので、特に共働きの人は多少高くても通勤時間が短いほうが絶対良いです!!忙しいと時間に余裕がないと、けんかの元にもなりますから。(30代前半女性)
物件探しはふたりで行く
どちらかが多忙や遠方のため、物件探しは一方に任される場合も少なくないようです。
けれども、実際に住んでみると話だけでは伝わらない部分が必ずあります。 両方が一度でも足を運ぶと、住んだときのギャップが少なくなります。
体験談
絶対にふたりで足を運ぶべき!
■私が遠方だったため、新居選びはほとんど夫に任せました。内覧には夫のみが行き、私は撮ってきてくれた写真や話を聞いて新居を選びました。
実際に住んでみて思いましたが、新居を決める前に絶対にふたりで足を運ぶべきです。毎日生活していく場所なので、実際に見て相談して決めてください。(20代後半女性)」体験談
希望エリアを何度も下見!
■希望のエリアを何度か下見することをお勧めします。できれば平日の昼夜、休日の昼夜。 近くにある店や自治体のサポートなども調べた方がよいと思います。(40代前半男性)
物件選びはタイミング
条件をじっくり絞って、納得いく物件を探すことも大切ですが、部屋選びは「ご縁が大事」とも言われています。 条件にこだわりすぎて、良い物件を逃すことのないように、思い切りも大切です。
体験談
タイミングを逃さないように!
■新居選びは条件面も大事ですが、タイミングも結構重要なので、悩んでいる間に目当ての物件が埋まってしまわないよう、すぐに動ける準備はしておいたほうがいいと思います。(30代前半男性)体験談
決断が大事!
■物件選びは「タイミング」だと思います。いくら時間をかけても見つからないものは見つからないし、思ってもいないタイミングでいいところに出会えるかもしれないです。そのときに決断した方がいいです。(20代後半女性)
「もう一部屋」あるゆとり
ふたりだけの生活は、いつも機嫌の良い状態ばかりとはいかず、時には険悪な状況になることもあるでしょう。
そんなとき、ギリギリの間取りや広さだと、息抜きの場もありません。 もし可能ならば、「もう一部屋」を考えておきましょう。その部屋が二人の潤滑油の役割を果たすようです。
体験談
喧嘩時の避難部屋を用意した!
■「客間」と称して一室余分にあると、喧嘩をした際にプチ家庭内別居ができます。一緒に暮らし始めて1年半になりますが、一度だけつかいました。
冷却期間をおけるのでオススメです。気がまぎれるように、安いテレビでいいので置いておくとなおよし!(20代後半女性)
5.引越しに必要な手続き
次に、一般的な引っ越しの手続きの一連の流れをご紹介します。 時間に余裕がある場合もあれば、転出転入を一度に行なう場合もあるでしょう。 手続きの種類を把握して、できるかぎり計画的に行なえるとよいですね。
1~3ヶ月前
部屋を解約する
解約することを知らせる:解約することを大家または不動産会社に連絡します
明け渡し日と解約日:荷物を運び出し、大家または不動産会社が部屋の状況をチェックします。
その後、敷金や保証金の残額が後日銀行などに振り込まれる場合が多いようです。
新居を契約する
物件をおさえる:物件をおさえるために「手付金」を納める場合もあります。
入居審査:申込みだけでなく、大家や不動産会社による入居審査が行なわれる場合があります。住民票や実印と印鑑証明、連帯保証人の関係書類などの提出の必要がある場合もあります。
賃貸契約:契約書を交わします。入居審査がない場合は、ここで住民票や実印と印鑑証明、連帯保証人の関係書類などの提出をします。
賃貸料などの支払い:敷金、保証金、礼金、1カ月分の賃貸料、管理費のほか、決められた火災保険料、仲介手数料などが必要になります。
新居の鍵の交換代も加わることがあります。 鍵の受け渡し:新居の鍵を受け取ります。
引っ越す日を知らせる:契約したからといって勝手に荷物を運びこんではいけません。ガスの開栓など立ち会いが必要なことがあるので、大家や不動産会社に確認します。
1~3週間前
引っ越し
引っ越し業者を決める:複数の業者に見積もりをとって決めましょう。粗大ゴミの手配も同時にしておきましょう。
転出届:住んでいた市区町村の役所窓口か郵送で手続きをします。転出する2週間前から手続きができます。
そのほか、郵便局への転送手続き、新聞、電力会社、ガス会社、水道(役所)に連絡をして、転居の手続きをします。 なお、電気のブレーカーは、退居時はブレーカーを下げ、入居時はブレーカーをあげます。
同じ管轄内ならば固定電話番号は変わりませんが、それ以外は新しい番号を選びます。新番号へのアナウンスを入れるかどうかなど、付随するサービスを選びます。
放送関係(NHKやCS、ケーブルテレビ)にも住所変更をします。
パソコン関連では、プロバイダーごとに手続きの方法があるので、それに従います。
引っ越し後
転入届
転出届を出したときに受け取った「転出証明書」を提出します。 その際に必要なものは、印鑑や本人確認書類、国民健康保険証、前の住所地で交付された住民基本台帳カードなどです。
事前にホームページなどで確認してから行きましょう。 印鑑登録:実印を持っていて登録していた場合、転出届を出すと自動的に抹消されるので、転入したら改めて印鑑登録をし直します。
実印を持っていなかった場合は、実印を購入したうえ、印鑑登録することができます。 実印にできる印鑑は8~25ミリの正方形内に収まる大きさで、ゴムなど変形しやすい素材のものはNGなので気を付けましょう。
※ 2016年8月 時点の情報を元に構成しています
「夫婦関係」 の キホン に含まれています