LGBT同性カップルに聞いた、ふたりの選んだ「結婚」の形

みんなのウェディング編集部 YJ
最終更新日 2017.04.05
LGBT同性カップルに聞いた、ふたりの選んだ「結婚」の形

LGBTとは、L(レズビアン)、G(ゲイ)、B(バイセクシャル)、T(トランスジェンダー)の頭文字をまとめたもの。
必ずしもセクシャルマイノリティである方がこの4分類に当てはまるということではありませんが、その総称として一般的に認知されている言葉です。

そんなLGBTカップルにとって大きな壁となるのが、 「結婚」
皆さんもご存知の通り、現在日本では戸籍上の性別が同性同士の結婚は、正式に法律では認められていません。

では生涯の伴侶として誓いを交わし、正式なパートナーとして社会から認知をしてもらうにはどうしていけばいいのか?

今回は実際に同性同士のパートナーとして、公正証書を作成・提出することにより、ふたりならではの「結婚」の形を実現されたカップルに、お話をお伺いして参りましたので、ご紹介したいと思います。


お話をお伺いしたおふたり

右:てづかやよいさん
LGBTsコミュニケーター&アーティストとして、様々なメディアで活躍中。
パンセクシャル(全性愛者)として自身の体験を元に、情報発信を続けている。

左:安佐田めぐ美さん
少年ジャンプデビューのプロ漫画家で、レズビアン。漫画を通じて、LGBT認知の活動も行う。


お互いを守るための「結婚」

yj
本日はよろしくお願いいたします!

double
よろしくお願いします!

yj
まずは、おふたりがなぜ「結婚」しようと思ったのか、など結婚に至るまでの経緯についてお聞きしてもいいですか?

yj
私はパンセクシャル(全性愛/性別にとらわれずに相手を好きになる)というセクシャリティを自認していて、つまり好きになる相手の戸籍上の性別が男性だという場合もあれば、女性だという場合(性自認は様々)もあるんですね。
私の場合、パートナーとして一生一緒に生きていきたいと思う相手が、たまたま女性だっただけなんです。
これがもし男性だったら、法律的に何の問題もなく「結婚」ができるのに、今回は女性だからできないというのは変じゃない?と疑問を持ったのが最初のきっかけですね。

yj
なるほどなるほど。「結婚」という制度・形へのこだわりというのはありましたか?

yj
例えば、不慮の事故があったときとかに「結婚」という形をとっていないと「あの人たちってただのカップルだよね」とみなされてしまい、パートナーとしての正当な権利を主張できないというリスクがあるなと思いました。

今は順調なので問題ないですが、例えば今後一緒に子供を育てることになり、その後離婚をするような事態になったとする。
そんな時にどのように話合いを進めていくのか?他にも親を介護することになったら?など様々な不測の事態を見据えた時に、
少しでもお互いの関係に法的効力を持たせておきたかったんです。

yj
お互いに「結婚」をしたという誓いをしたい、気持ちの面でそれを実感したいということであれば、婚姻届にふたりの名前を書いて家に飾っておくだけでもいいと思うんです。
でも、
少しでも証明できるものを残し「結婚」に近い形をとっておくことで、何かがあったときに自分も相手も守ってあげられますよね。


「結婚」に向けて8つの方法を検討した

yj
今回おふたりは「公正証書」を作るという手段を選ばれたわけですが、他にも「結婚」に向けて検討されたものはあったんですか?

yj
色んな方法を調べた結果、取れる手段は8通りくらいあることがわかりました。

yj
8種類!

yj
はい。

1.結婚した、とふたりが当人同士で誓い合うこと
2.結婚指輪を購入すること
3.結婚式をあげること
4.公正証書を作ること
5.養子縁組を組むこと
6.渋谷区などパートナー条例のある自治体に引っ越すこと
7. (同性婚が認められている)国に移住して結婚すること
8. (同性婚が認められている)国で結婚の手続きをすること

の8つです。
1~3はお互いの気持ちを確認したり、身近な人にわかってもらうことはできますが、やはり私たちが望んでいた証明としても機能する「結婚」には遠いな、と。
海外に行ったり、引越したりするのも少し現実的ではないですよね。

最終的に候補として残ったのは、「公正証書を作成する」と「養子縁組を組む」というやり方でした。

yj
「養子縁組を組む」というのは具体的にどういうことなんですか?

yj
どちらか年長者を親として、パートナーを自分の養子にするんです。
名字も同じになりますし、家族としてきちんと認められる。
LGBTカップルでは法的な庇護を受けるために、この制度を利用する人が多くいます。
ですが、現行の法律では「一度養子縁組を組んでいたカップルは、婚姻できない」というルールがあって、今後日本の法律改正で同性婚が認められた時に、足枷になるかもしれない…と思って、結局私たちはこの手段をとりませんでした。

yj
なるほど、それで今回選択されたのが「公正証書」を提出するというやり方だったわけですね。

yj
はい。総称して「公正証書」と呼んでいますが、正確には「準婚姻合意契約公正証書」と「任意後見契約公正証書」の2枚を作りました。


費用は?文面は誰が作る?公正証書の提出方法

yj
どちらも中々聞きなれない書類名ですが、まず「準婚姻合意契約公正証書」について教えていただけますか?

yj
結婚生活を営む上での約束事を記した書類です。
異性間のカップルでも勿論提出することができます。

yj
あ!アメリカとかでは、結婚のルールや財産分与などを定めた婚前契約書を結ぶことがあるってよく聞きますよね。

yj
そうですそうです。本当は当初遺言も作りたかったんですが、書類の作成にお金もかかるので、お互いに万が一のことがあった場合の処置なども、この準婚姻合意契約公正証書に盛り込みました。

yj
「任意後見契約公正証書」の方についてはいかがですか?

yj
こちらは、どちらかの判断能力が不十分になったときに相手の後見人になるという書類です。法務局で登記もされます。

yj
共に法的な効力が生じる書類なんですか?

yj
契約を結んでいる両者間ではそうですね。
一般的な契約書と同じです。
男女が「婚姻届」を提出する場合は、入籍をして夫婦と認められ、社会に対して効力を持つわけですが、わたしたちの場合は、あくまでもお互いの中でそういう契約を交わしているということです。
「結婚」に対する強い意思表示を形にしていると言ってもいいと思います。

yj
書類作成の費用や、手間の部分はいかがでしたか?

yj
最初は行政書士さんに相談に行ったんです。
でも、その方はこういった契約書を作成するのに知見があるわけではなさそうで。
お金も、1通につき5~10万円ほどかかってしまうということで、それなら何とか自分でやってみよう!と思い立ちました。

yj
すごい!

yj
元々仕事で契約書に触れる機会もあり免疫があったので、自分で雛形を作って公証役場へ行き、公証人の方に見てもらいました。 実際は、完璧な文言じゃなくても、「こんな内容を盛り込みたい」ということをまとめてもっていけば、公証人の方が文章も作ってくれます。 結果私たちの場合、印鑑の作成とかも含めて全部で9万円弱でできました。自分でやってよかったです(笑)

yj
でも、中々一般の人には難しいかも…。私だったらできないですね(笑)
彼女は経験があったからできただけで、素人が契約書作れ!って言われても困っちゃいますよね。

yj
確かに、甲・乙とか、他にも古典的な言い回しとか、日本語でも見慣れない表記が多いですしね…。

yj
自分たちでもできるかも、という人はトライしてみてもいいし、自信がない場合は、行政書士や弁護士に相談してみるって感じが良さそうですね。

yj
そうですね。ちなみに私たちの暮らしている区では、今回のようなケースが初めてだったらしいんですけど、公証人の方がとてもいい方で親身になってくれて、書類提出の時も「おめでとう」って声をかけてくれました。私たちの「結婚」を認めてくれた…って気持ちになって、本当に嬉しかったですね。


障壁があったからこそ、「結婚」を真剣に考えられた

yj
公正証書を提出することで、おふたりは「結婚」という形を取られたわけですが、それによって何か変わったことはありましたか?

yj
入居の時には書類を作っておいてよかった!と思いましたね。
同性パートナーの場合、賃貸契約を結ぶ際にただのルームシェアという扱いになってしまうことがあって。
それだと保証人もWでつけなくてはいけなかったり、何かと余分なお金もかかってしまうんです。 でも、今回私たちは「結婚しているんです」と宣言をして、
書類を提出することで正式なパートナーとして、認めてもらうことができました。
もちろん公正証書がそれに対して絶対的な効力を持っているわけではないんですが、少なくとも私たちの本気を伝えるには有効だったと思います。

yj
それは頑張ったかいがありますね!精神的なところでの変化もありましたか?

yj
今回、何よりもよかったのはこの手続きをするにあたって、「結婚って何だろう」ってことを真剣に考えられたことですね。
手続き完了までは2ヶ月半くらいかかったんですけど、そのうちの1ヶ月は「なぜ結婚するのか」「どういう結婚生活を送りたいか」などの話し合いに費やしました。

yj
真剣に付き合っていないと、できないんですよ、こういう話って。
公正証書を作って「結婚」の手続きをとっていくのは、手間もかかるしお金もかかる。
しかも、これから一生をかけての約束をしていくという重い決断なんで、お互いが本気でお互いを想っていないと、この段階までいけないですよね。

yj
ある意味セクシャルマイノリティだからこそ、これだけ真剣に向き合えたというのはあると思います。
何の障害もなく結婚できていたら、こんなに本質的な会話をしなかったかもしれない。

yj
こういう風にお互いの価値観や、生き方、ふたりの人生について真剣に向き合うのって、異性カップルであったとしても大事ですよね。

yj
そうなんですよ!この話合いを設けることで、信頼感が増して、絆がより深まった気がしましたね。


「結婚」とはふたりが一緒に生きていくこと

yj
色んなお話をお伺いしましたが、最後におふたりにとって「結婚」は何だと定義されていますか?

yj
「自分とパートナーが一生一緒に暮らすための仕組み」だと思っています。
法的に認められていないから「結婚」には値しない、ということではなくて、わたしたちの中での
「結婚」は「覚悟を決めて一緒に生きていく」ということなんです。

yj
そうですね。私は付き合いを始める時からそういう気持ちで、彼女と「結婚したい!」って思ったんで、「付き合おう」じゃなくて「日取りいつにする?」っていうのが交際スタートの最初の言葉でした(笑)

yj
いきなりプロポーズ!(笑)かっこいいですね。

yj
本当!それで「いきなり結婚っていうけど、何をもって結婚なの?」って聞いたら「いや、わかんない」って言われて(笑) でも、それくらいシンプルに「ふたりが一緒に生きていくこと=結婚」だったんですよね、彼女の中で。

yj
なるほど。でも確かに、本質的にはそういうことですよね。
今日は本当に色んなお話を有難うございました!改めて私自身「結婚」に対して真剣に考えるきっかけになりました。
「結婚」の形はそれぞれですが、おふたりの取られた方法を参考にされる方も多そうですね。

yj
そうですね、わたしたちはメディアでもそうですし、周囲の人全員に自分たちのセクシャリティをカミングアウトしているんです。
カミングアウトしている人って、芸能人とか特別な人っていうのがまだまだ多くて、私たちみたいな「普通の一般人」が事例を作ったり、情報を伝えていくことで、色んな方の役に立つといいなと思いますね。

yj
こういう方法もあるよ、っていうのを知ってもらえるといいですよね。

yj
ちなみにおふたりは結婚式は考えていらっしゃるんですか?

yj
そうですね、まだ具体的じゃないですけど、やりたいなと思ってますね。

yj
形式的な結婚式というよりは、ラフなパーティー風の会がいいなと思ってます。個人的にはハワイウェディング&日本でパーティーとか憧れますね。

yj
その時は、ぜひ結婚式の様子を取材させてください!

double
ぜひぜひ!


同性同士の法律的な婚姻が認められていない中、公正証書を作成することで、ふたりの中での「結婚」を形にした、てづかさんと安佐田さん。

「結婚とはふたりが一緒に生きていくこと」というシンプルな言葉、そして幸せそうなおふたりの様子がとても印象的でした。
きっとこれから予定しているという結婚式は、たくさんの笑顔が溢れるとても素敵な空間になるんだろうな、と今から楽しみな編集部でした♪

LGBTフレンドリーな結婚式場を探す

関連する記事